ソロモンの鍵シリーズ
エピソード
トリビア
1986年7月30日、テクモからファミリーコンピュータで発売された『ソロモンの鍵』は、魔の星座宮で失われた“ソロモンの鍵”を探す魔術師ダーナの冒険を描く。デザインは鶴田道孝、音楽は蓮谷通治が担当。固定画面の“部屋”ごとに鍵を回収し、出口の扉へ向かうという目的は明快だ。
核になるのは「換石の術」。ブロックを作る・消すを繰り返し、足場や壁をその場で組み替えながら進む。敵と時間制限に追われつつ、最短手順を指先に落とし込むような感触があり、知恵と反射神経を同時に削り出す。しかも、残り時間がゼロになる前に出口へ辿り着く“締め切り”が毎部屋で鳴り続けるため、考えるほど焦りが増す。最初から妙な中毒性が仕掛けられている。
ブロックは足場にも盾にもなり、換石で消したりジャンプ頭突きを2回当てたりすると壊せる。敵を落として倒す“武器”にもなるうえ、怪しい場所に換石を試すとブロックの中からボーナスや魔法などの隠しアイテムが出ることもある。目の前の危機をさばきつつ、探索の勘まで働かせることになる。
一方で攻め手は頼り切れない。火球はストックがある時しか撃てず、初期は3個。地形に沿って進み、敵に当たるか一定距離で消える癖もある。そこで、マンダの壺で火球(貫通する強力版を含む)を補充し、ライラの巻物で最大ストック数を増やし、宝石のクリスタルで射程を少し伸ばす。チェンジターゲットを換石で回して欲しい物に変えるなど、攻め手の管理そのものがパズルとして組み込まれている。
ブロックは画面内に何個でも何回でも出せるから、敵の突進や炎を受け止める壁を即席で立てたり、敵が乗った足場だけを壊して下段に叩き落としたりもできる。同じ術が防御にも攻撃にも化けるのが面白い。だからこそ、手順を一つ間違えると自分の作った壁が逃げ道を塞ぎ、部屋の小ささがそのまま窮屈さとして返ってくる。
救いになるのがライラックの鐘だ。取ると扉からフェアリーが出現し、そのフェアリーを10体救出するごとにダーナのストックが1人増えるという、分かりやすい報酬が用意されている。ノルムの砂時計で残り時間を初期値へ戻したり半分にしたりして立て直す手もある。それでも進むほど敵の配置と足場の要求は意地悪に研ぎ澄まされ、星座宮という名前どおり区切りを感じさせる構成と、古代遺跡を思わせる背景、軽快な曲が気分だけを前へ押す。
しかもファミコン版は、アーケード版とはステージ構成やアイテム、敵の挙動が大きく異なる“別物”として語られるほどだ。家庭用ならではの寄り道の誘惑として、重要アイテムが眠る六芒星形の隠しステージや、封印や鍵の欠片を集めるほど結末が深くなる仕掛けが待っている。ノルムの砂時計という名前自体が、別作品に登場するキャラクターに由来するとされる小ネタもあり、アイテム名だけで当時のメーカー同士の空気が透けて見えるのも楽しい。
当時の宣伝では「ゲーム偏差値」という言葉や「隠れキャラ498」といった強い煽りが使われ、実際に『マイティボンジャック』が隠れキャラとして登場する遊び心まで混ざっている。同時期のアーケード版と同時発売を狙いながら、移植ではなく別作品として組み直され、音楽をアーケードより長くしたという話も残る。隠し要素の集め方でエンディングが変わり、最良の結末には封印を揃え、鍵の欠片と妖精の姫に辿り着く必要があるとされる。
「ゲーム偏差値」の画面で上+A+Bを押し続ければ続きから挑める救いもあるが、その継続には上限があるという制限まで含めて容赦がない。最終盤ではソロモンの封宮と呼ばれる領域へ踏み込み、最深部にあるソロモンの書を奪還せよと提示されるほど物語の言葉は大仰になる。だが体験は、一歩一歩の作業の積み重ねでしか前に進めない。歴代ファミコン屈指の名作として今なお色あせないと評される一方、アーケード版と家庭用版では隠しステージや重要アイテムの位置付けが違うため、同じ題名でも攻略の考え方がずれるのが罠だ。いまNintendo Switch Onlineで気軽に触れても、手元の焦りだけは古びずに残る。
NAO総評
知恵と反射神経を同時に試すこの作りは、固定画面の小さな部屋に見えても手順と瞬間判断の両方を要求し、換石で足場を組む一手が逃げ道にも罠にも化け、火球のストックと残り時間が減る圧の中で最短と欲張りの両方を選ばされるのが厄介だが痛快で、壁の奥から鐘や壺がこぼれ落ちる瞬間に欲が勝つと事故り、六芒星の隠し面や封印集めで結末が枝分かれする仕掛けが当時の挑発を裏切らず、そもそもアーケードと同時発売を狙いながら移植ではなく別物として組み直し、BGMまで長くしたという執念が、ゲーム偏差値の名にふさわしい不親切さと快楽を同居させ、だからこそ一面から油断が許されず、妙に気持ちよく、最後に残るのは手癖ではなく手順の哲学だ。
出典:NAONATSU総評
初見で解けるわけがないと思いながらも、鍵を拾って扉へ飛び込むだけの目的がいつの間にか胸の支えになり、換石で足場を一段ずつ組み替えては落ちてやり直し、火球の数と残り時間に追われて焦るほど手が震えるのに、壁の中から鐘や壺が出るたびに小さく笑ってしまい、妖精を救うほどストックが増えるご褒美に背中を押され、六芒星の隠し面や封印集めで真の結末が近づくと知ると欲が止まらず、星座宮の古代遺跡みたいな景色と軽快な曲が気分を温め、ゲーム偏差値の画面で上とAとBを押して続きから挑める救いまで用意され、今はSwitch Onlineで気軽に触れても当時の難しさだけはそのまま残り、結局それでもまた一部屋だけと指が動く。
出典:NATSU
📘 説明書資料(ソロモンの鍵 [TCF-SK])
説明書:Internet Archive(ソロモンの鍵 [TCF-SK])
※Solomon no Kagi [TCF-SK](Famicom)(JP)
区分:説明書/Manual/Instruction_Booklet
※当時の説明書はInternetArchiveに保存された資料を参照 権利は各社に帰属します














発売日:1986/07/30|価格:4900円|メーカー:テクモ|ジャンル:パズル
NAO: 知恵と反射神経を同時に問う仕掛けが秀逸。
NATSU: 初見で解けるわけがない!でもハマる。