エピソード
1986年8月1日にナムコから発売されたファミリーコンピュータ用のアクションRPGで、ワルキューレという女戦士を主人公に据えた時点で当時としてはかなり目立つ存在だったが、見た目の華やかさとは裏腹に、プレイ感は骨太で、マーベルランドの空気を自分の足で切り開いていくタイプの冒険が始まる。
物語は、かつて無限の命を持っていた人々が飢えと争いに沈み、神が大時計を築いて時を定め、その大時計に時の鍵を差し込んで魔物を時の狭間へ追いやったところから動き出し、ところが死を恐れた男が時の鍵を抜いてしまったことで時代が逆流し、悪の化身ゾウナが甦り、奪った魂を捧げさせる闇が広がる中、救いを求める声に応えた神の子ワルキューレが人の姿で降り立ち、時の鍵を探して再び封印する旅に出るという、神話と童話の境目みたいな導入が良い、しかもゾウナは物理攻撃では倒せない永遠の命を持つ存在として描かれ、時の鍵そのものをめぐる戦いが最後まで筋を通してくる。
ゲームはトップビューで進み、敵を倒して経験値と金貨を稼ぎ、宿に泊まることでレベルが上がる一方、先へ進むにはフィールドや地下迷宮で必要な道具を集めなければならず、攻略のヒントがほとんど無いこともあって、何が鍵になるのかを自分で試しながら理解していく作りになっている、開始時に星座と血液型を選ぶと初期能力や成長の傾向が変わり、衣装の色は見た目だけという遊び心もあるが、昼夜の概念があり夜になると敵が強くなり出来事も変わるので、時間そのものが難易度のスイッチとして働く、倒れると墓に埋められ天に昇る演出が入り、宿で得たキーワードで再開できるほか、宿に入った経験があればキーワードなしでもスタート地点から再開できるが、そのたびに重要でないアイテムが失われる仕様が、慎重さと焦りを同時に呼び起こす、ゲーム中の会話が一切無いのも特徴で、付属物が実質的な案内役として効いていた。
難しさの芯はアイテム管理にもあって、所持できるアイテムは最大8個で武器や防具も枠を使い、枠が埋まるとそれ以上拾えず、捨てることもできないので、使い切るか店で半額で売るかの二択になる、装備の概念が薄く武器や防具も選んで使う操作で、マントやヘルメットを付けると見た目が変わり、敵の攻撃で壊れることもある、砂や雪や毒の沼のように地形そのものが罠になる場所もあり、何も知らずに踏み込むとあっさり削られるので、道具の意味がやけに重い、海を渡るには魔法の船やマッコウの助けが重要で、富の国やゾウナの島へ向かう道が開けるのも印象的だ、町に入れば宿屋のほかにサンドラの店があり、交換屋やダイヤ屋や預かり屋や占い師のような施設も点在していて、道具の購入や交換や保管がそのまま攻略の歯車になる、敵は倒れるとほぼ必ず金貨の袋を落とし、ときどきアイテムも落とすが、画面内に$袋やアイテムを上限まで並べると敵が出にくくなるような挙動もあり、逆にアイテム選択欄を開いている間は出現判定が進まないという癖もあって、素朴な外見の裏で仕組みを探る楽しさが隠れている、ワープゾーンは行き先が複数ありティアラの有無で切り替わるという変な親切さも混じり、魔法は知力の最大値に応じて薬の術からイナズマの術まで段階的に増え、探索補助の透視術や敵停止の星笛の術まで揃うので、切り札をいつ切るかで旅の肌触りが変わる、当時は攻略本が複数出たというのも納得でき、2024年7月25日には現行機向けにアーケード版移植も登場して、時間そのものを題材にした物語が少しずつ延命していくのが面白い。
NAO総評
女戦士が主役というだけで画面の空気が変わるのに、遊びの中身は意外なほど厳しい、星座と血液型で序盤の手応えが揺れ、夜になれば敵が強くなり出来事も変わる、宿で育ちキーワードで再開できるのに大事な物以外は失われる、持ち物は最大8個で捨てられず売るか使い切るしかない、武器も防具もその枠を食い、壊れる恐怖まで抱えて歩く、ワープは気まぐれでティアラ一つで行き先が変わり、海を渡る手段も道具に縛られる、ヒントが少ないのは不親切ではなく試行錯誤を前提にした設計だと割り切れば、失敗の記憶さえ自分の冒険譚に変わっていく、倒れると墓に埋められ天へ昇る演出が象徴的で、1986年の家庭用にしては妙に大人びていて潔いまでだ。
出典:NAONATSU総評
はじめの村を出た瞬間に広がるマーベルランドは物語の入口としてちょうどいいのに、夜が来ると敵が強くなり出来事も変わって急に世界が怖くなる、その落差が子どもの心に残る、星座や血液型で最初の体力や知力が変わり、知力が育つたびに魔法が増えていく感じも嬉しい、透視で見えない物を探したり星笛で敵を止めたりと小さな奇跡が散らばっている、ワープの行き先がティアラで切り替わるような不思議もあって、わからないまま歩いた時間さえ後で宝物になる、宿でキーワードをメモして再開するたびに少しだけ前へ進み、持ち物8個の窮屈さに悩んで店で泣きながら売った記憶まで含めて冒険になる、凛としたワルキューレがあの頃のファンタジーを現実にしてくれた。
出典:NATSU
📘 説明書資料(ワルキューレの冒険 時の鍵伝説 [NWB-3900])
説明書:Internet Archive(ワルキューレの冒険 時の鍵伝説 [NWB-3900])
※Valkyrie no Bouken - Toki no Kagi Densetsu [NWB-3900](Famicom)(JP)
区分:説明書/Manual/Instruction_Booklet
※当時の説明書はInternetArchiveに保存された資料を参照 権利は各社に帰属します












発売日:1986/08/01|価格:3900円|メーカー:ナムコ|ジャンル:アクションRPG
NAO: 女戦士が主人公というだけで新鮮だった。
NATSU: ファンタジーへの入り口。導入にちょうど良い世界観。