エピソード
トリビア
火の鳥 鳳凰編 我王の冒険は1987年1月4日にコナミから発売されたファミコン用のアクションで、定価は5300円だ。1986年に公開されたアニメ映画火の鳥 鳳凰編を題材にしつつ、内容は横スクロールの面クリア型として組み立てられている。原作や映画の火の鳥を思い浮かべて始めると、まず来るのは神秘より手触りで、悟空みたいな勢いは通じない。火の鳥要素どこいったと感じる人が出るのは、物語の関連が薄く、説明書で語られる設定が芯になっているからだ。それでも我王という名と、彫刻を追う筋だけは強く残っていて、帝の命で作った火の鳥の像が十六の破片に分かれて時空へ散り、それを探す旅に出るという導入が、地味な操作の反復に大きな目的を与えている。
ゲームの目的は全十六ステージを抜けて彫刻のパーツを集め、最後に絵を完成させることだ。各ステージの終わりにはボスが待ち、倒してパーツを取ればクリアになるが、ステージによっては落下物などの仕掛けをかわしたり、壁を壊して進んだりする場面もある。操作の軸は彫刻道具のノミで、前方へ飛ばすだけでなく、上を押しながら撃つと真上にも撃てる。ただし射程が短く、遠くの敵には届きにくい。さらに厄介なのは、しゃがんでいる間は攻撃ではなく鬼瓦の設置になることだ。つまり攻撃と足場作りが同じ指先で喧嘩をしていて、慣れないうちは玉虫色の操作感に足を取られる。ここがNAOの短評の芯で、伝説の難度と言われる理由も、敵の強さより癖の強い手順にある。ゲームオーバーになっても同じステージからコンティニューできるので、心が折れても戻りやすい。逆に鬼瓦が尽きて進めなくなった時は、自滅して立て直す手段まで用意されている。これがまた不思議に優しい。助かる。よ。
本作のトリビアの主役は鬼瓦だ。鬼瓦は空中にも置けるので、その場で足場を作って段差を超えたり、敵の進路を止めたりできる。置いた鬼瓦はノミで壊すか、上に乗ってしゃがんだまま三回ジャンプすると壊せる。この壊し方は鬼瓦だけでなく、特定のブロックにも通用し、使えないと先へ進めない場面が出てくる。敵をノミで倒すと鬼瓦に変わり、それを取るとストックが増える。ボスを倒し直しても鬼瓦になるので、粘って集めると手元が少し楽になる。宝箱から一気に十個増えることもあり、最大は九十九まで貯められる。アイテムも宝箱中心で、おにぎりはライフを全回復し、貝殻は最大ライフを増やすが、一度ミスをすると最大値が初期に戻る。だから安全策で抱え込むより、今の壁を越えるために使う判断が問われる。いきなり難所が来るというNATSUの短評は、まさにこの鬼瓦と短射程のノミの組み合わせが作る初見殺しの温度を指している。
裏側の話としては、開発はコナミ開発二課とされ、ディレクターとプログラマーはLOVELY HIDEKIの名でクレジットされている。音楽は水谷郁と前沢秀憲と山下絹代が関わり、エンディングでは渡辺典子が歌う映画主題歌火の鳥のサビの旋律が使われる。ここでようやく原作の看板が耳から戻ってきて、長い修行の後に一瞬だけ物語側へ引き寄せられるのが面白い。さらにパッケージに描かれているキャラクターの一部がゲームには登場しないというずれもあり、題材の大きさと中身の割り切りが同居している。大和や太古や来世へ飛ばされ、恐竜や宇宙人のような相手と向き合うと説明されるのに、手元で起きるのは落下と一撃と時間切れだ。その落差に戸惑いながらも、鬼瓦が一枚はまって足場ができた瞬間だけ、世界が少し優しくなる。派手な名場面ではなく、越えられた段差の記憶が残る。だから妙に記憶に残る一本になる。
NAO総評
火の鳥の看板を背負っているのに、遊びの主役は哲学じゃなくて鬼瓦だ。しゃがめば足場が出る、その発想は面白いのに、同時に攻撃ができない癖まで抱き合わせで来る。彫刻の欠片を十六集めて絵を完成させるという筋も、壮大なのに手元では一撃死と落下が容赦なく割り込む。悟りより反射と段取りが必要で、謎なのは火の鳥より操作性と言いたくなる瞬間が何度もある。それでも越えた時だけは妙に気持ちいい。名を借りた異色のアクションとして、皮肉なほど記憶に残るんだぜ。エンディングで主題歌の旋律が顔を出すのも、最後にだけ原作の看板を思い出させる小細工だ。
出典:NAONATSU総評
原作の火の鳥を思い浮かべて始めると、想像よりずっと黙々とした横スクロールでびっくりする。でも鬼瓦を置いて足場を作れた瞬間だけ、世界が少し優しくなるの。ノミで宝箱を開けたり壊したりしながら進むのに、しゃがむと攻撃できなくなる癖があって、いきなり難所が来るって短評がそのまま刺さる。十六のステージで彫刻の欠片を集める旅は長いけれど、転んで戻されても、次は行けるかもと手が伸びてしまう。派手じゃないのに妙に記憶に残る一本だと思う。大和や太古や来世へ飛ばされる展開は物語の説明が少なくても雰囲気だけは残してくれて、年末年始の静けさに似合う。
出典:NATSU
📘 説明書資料(火の鳥 鳳凰編 我王の冒険[RC817])
説明書:Internet Archive 所蔵版(火の鳥 鳳凰編 我王の冒険[RC817])
※Hi no Tori - Houou Hen - Gaou no Bouken [RC817](Famicom)(JP)
区分:説明書/Manual/Instruction Booklet
※当時の説明書はInternetArchiveに保存された資料を参照 権利は各社に帰属します












発売日:1987/01/04|価格:5300円|メーカー:コナミ|ジャンル:アクション
NAO: 火の鳥の名を借りた異色のアクション。原作ファンには驚きの展開かも。
NATSU: コナミの硬派アクション。火の鳥要素どこいった?