ファミリートレーナーシリーズ
エピソード
トリビア
1987年5月28日にバンダイから発売されたファミリートレーナー ジョギングレースは、床に敷くファミリートレーナーのマットを踏んで走ることを前提にした作品で、価格は4900円、ジャンルはスポーツの中でもジョギングを主題に据えている。シリーズ第4弾に当たり、第2作が陸上競技中心だったのに対して本作は持久力をまっすぐ主題にしたところが特徴だ。マットはA面の八つのキーを使い、第1作と同じ操作体系で、遊びの入口をコントローラから足裏へ移すことで、居間のテレビ前がいきなりコースのスタート地点になる。日本国内のみで販売されたという来歴も含めて、周辺機器と一緒に遊び方を広げていく当時の現場感がそのまま残った一本になっている。プレイ人数は一人で、勝敗よりも自分の息を整えて続けること自体がゲームの目的になる。
遊びの核は二つのモードに分かれる。ひとつは皇居の外周をモデルにした約五キロの周回で、反時計回りに一周するいわゆる皇居ランニングを再現する。練習寄りの遊びとして、自分の体格や年齢を入力し、時間や距離の目標を決めて走るという要素が用意されており、ゲームでありながら運動記録のまねごとができるところがトリビアらしい。もうひとつは障害物マラソンで、舞台はアメリカ西海岸をうたう架空のコースになり、距離は42.195キロと掲げられるが、実際に同じ距離を走らせるわけではないという割り切りがある。マラソン側は三キロ程度の小さな区間に分けて進む構造で、道中には中身の流出したオイル缶のような障害物が散乱し、接触して転ぶと体力が減り、ゼロになればリタイアになる。アイテムのスケボーに乗ればマット上で走らなくても自動で前進するが、ジャンプなどの回避動作は自分で行わなければならず、楽をさせる代わりに油断を誘う仕掛けになっている。
こうした作りは、単に運動器具を付けただけでは遊びが続かないという事情に対する答えでもある。走るだけの単調さへ、転倒のリスクと回避の判断を差し込み、疲れてくるほどミスが増えるという感覚をゲームの緊張へ変換している。誌面評価ではクロスレビューが合計二十六点、読者投票でも三十点満点で十七点台と、点数は中より上に収まったが、そこで終わらないのが周辺機器ものの面白さだ。面白いかどうか以前に体が温まってしまい、遊ぶ行為そのものが運動になるという価値が、家庭用ゲームの枠から少しはみ出している。
裏側の話として、本作はファミリートレーナー専用ソフトの一枚で、発売元はバンダイ、ソフト開発はヒューマンが担う体制の中で作られた。マット自体は二つの面を持ち、A面は八つ、B面は十二のセンサーを備えるという仕様が知られている。ゲーム側は多くはA面をあまり使われないと言われる中で、本作は最初からA面を前提にしている。日本では1986年に登場し、のちに海外では別名で展開されたあと、北米では権利の取得と名称変更を経て任天堂が扱い、旧名称の在庫が回収されたという経緯も語られる。北米では五十万台が売れたとされ、周辺機器としては相当な規模で家庭に入り込んだ。足で操作する仕組みは後年のダンスパッド型の遊びへ連なる系譜として触れられることもあり、ファミコン時代の試みが後の定番に混ざっていくのが面白い。シリーズとしてはこの後も迷路大作戦やマンハッタンポリスなど専用ソフトが続き、走るだけなのにやたら疲れるという感想すら作品の狙いどおりの遊び味として成立してしまうところに、レトロ周辺機器の魅力が凝縮されている。翌日の筋肉痛まで含めて思い出になるよ。
NAO総評
走るだけなのにやたら疲れるという感想が、ここでは褒め言葉になる。皇居ランと障害物マラソンの二枚看板は発想が勝っていて、スケボーで楽をしても結局は回避で足が止まる。競技の上手さより継続の根性が問われ、勝ち負けの代わりに自分の言い訳が増える。外へ出ない運動という矛盾まで含めて、妙に時代の広告に似た顔をしている。対象年齢がどこなのか迷うほどストイックで、居間の床が汗で現実味を帯びてくるのが怖い。マットA面の単純さが逆に逃げ道を塞ぎ、プレイヤーの怠け心だけが敵になる。
出典:NAONATSU総評
正直、外を走った方がコスパも運動効率も高いと思う。それでも当時は、家の中で走れるだけで新しい遊びに見えた。皇居一周をテレビでなぞる不思議さと、障害物で転んで悔しがる子どもっぽさが同居していて、息が上がるほど記憶が濃くなる。雨の日でも続けられる気分だけは確かにあって、終わったあとに笑える疲れと、少しだけ達成感が残る。ひとり用なのに、周りが応援したり、交代で踏んでみたりして、遊びが家族の空気に混ざっていくのも懐かしい。
出典:NATSU
📘 説明書資料(ファミリートレーナー ジョギングレース [FT-04])
説明書:レトロゲームの説明書保管庫(ファミリートレーナー ジョギングレース [FT-04])
※Family-trainer-jogging-race[JF-04](Famicom)(JP)
区分:説明書/Manual/Instruction_Booklet
※レトロゲームの説明書保管庫様による保存資料です / 権利は各社に帰属します






















発売日:1987/05/28|価格:4900円|メーカー:バンダイ|ジャンル:スポーツ
NAO: 走るだけなのにやたら疲れる鬼ジョギング競争
NATSU: 外走った方がコスパも運動効率も高いです