エピソード
トリビア
アテナは1987年6月5日にSNKから発売された、横スクロール型のアクション作品だ。主人公は勝利の国の王女アテナで、城の退屈な日々に飽きて禁じられた扉を開け、外の幻想世界へ踏み出してしまう。落下の拍子に身ぐるみを失い、水着姿から始まるという導入がまず強烈で、当時の家庭用としては珍しい女性主人公を正面に据える。けれど手触りは甘い物語ではなく、むしろ何をして良いのかが分かりにくいタイプの冒険だ。目の前にあるのが武器なのか罠なのか、扉の向こうが正解なのかが説明されず、拾って試して覚えるしかない。だから最初の一時間は、可愛い見た目と容赦ない洗礼の落差で、頭が置いていかれる感じがする。一度地図が頭に入ると、急に進めるようになる瞬間がある。
基本は足元の段差と敵をさばきながら先へ進む構成で、道中で武器や鎧や道具を拾い、攻撃力や行動範囲を増やしていく。ボールと鎖や弓矢や剣といった武器は手にした瞬間だけ頼もしいのに、被弾すると装備が剥がれていき、あっという間に水着へ戻される。この戻しの速さが本作の心臓で、強くなった実感と弱体化の絶望が同じテンポでやって来る。旅は森、洞窟、海、空、氷、地獄、迷宮、最後の世界という八つの区切りで進み、地形も敵の癖も毎回がらりと変わる。ハンマーで壁を壊して道を作ったり、翼で空中を進んだり、人魚の姿で水中へ潜ったりと、拾う物で遊びの顔が変わるのも面白い。反面、落とし穴に落ちても即死ではなく、装備を失った状態でスタート地点へ戻されるため、分かりにくい道で迷うほど損をする。特に迷宮の世界では女神ティターンが重要アイテムを置いて消えるが、勢いで攻撃すると全装備を剥がすマイナスアイテムを落として去ってしまう。第七面にボスがいないことや、地獄の世界のボスが特定のアイテムなしでは倒せないといった癖もあり、分からないまま突っ込むと理不尽が積み上がっていく。
ファミコン版はアーケード版から多くの変更が入り、BGMやアイテムの一部削除と独自アイテムの追加、マップ構成の変更、エンディングメッセージの削除などがまとめて行われた。物語面でもアーケード版とは違う筋書きと結末が用意され、同じ題名でも空気が少し変わっている。特典として続編サイコソルジャーのテーマソングなどを収録したカセットテープが付属し、発売時のテレビCMでもそのテーマ曲が使われたという、ゲーム外の仕掛けも強烈だ。もともとディスクシステム向けとして告知され、後にカセットへ変更された経緯があり、告知ではアテナの年齢に触れる文句まで出ている。さらに開発者は、女性主人公の採用は市場狙いではなくプランナーの趣味であり、水着姿の開始も装備で成長する仕組みからの必然だと語っている。こうした裏側を知ると、遊んでいる最中に感じるちぐはぐさも、作品の尖りとして腑に落ちてくる。
世界観はギリシア神話や古代ローマ由来のモチーフが混ざり、武器や道具の名前や敵の造形にもその気配がある。旅は八つの世界を越えていく形で、各面の最後には巨大な敵が待ち、そこで詰まると道中で拾った装備や道具の意味がようやく見えてくる。たとえばハンマーはただの武器ではなく、石を砕いて道を作るための鍵にもなるし、跳躍を伸ばす道具は攻略というより探索の自由度を変える。移植はマイクロニクスが担当し、家庭用向けの調整が積み重なった結果、説明不足がより濃く感じられる場面もある。それでも本作が語り継がれるのは、強さが積み上がる瞬間と剥がれ落ちる瞬間が同じ画面で起きるからで、上達というより生存術が増える感覚に近い。分からなさに負けそうになったら、まずは拾った物の効果を一つずつ覚え、同じ面を短い距離だけでも安定して抜けることを目標にすると、いつの間にか世界の理不尽が地図になる。さらにアテナという名とイメージは、続編サイコソルジャーや、麻宮アテナという系譜を通じてSNKの看板キャラクターへ伸びていく。最初は歌を聞かされる罰のように思えても、歌と姫と鬼難度が同居した違和感こそが、アテナという存在の原点なのだ。
NAO総評
歌入りカセットの豪華さに惹かれて起動すると、姫は水着で放り出され、拾った装備は一発で剥がれ、落とし穴で全部没収され、迷宮ではうっかり女神を殴って装備ゼロにされる、説明の薄さと難易度が噛み合って迷子感だけが濃くなるのに、八つの世界を越えるたび理不尽の種類が増え、マイクロニクス移植の癖も相まって、ディスク予定がカセットに変わった時代の勢いと、歌で釣って硬派で殴るSNKらしさが突き抜けていて、結局また起動してしまう罰ゲームだ。
出典:NAONATSU総評
水着で始まる姫の冒険ってだけで当時はドキドキしたし、歌まで付いてくるから今思えばヒロイン推しの先駆けみたいだった、でも中身は容赦なくて何度も装備を剥がされ、落とし穴で戻され、迷子になって泣きそうになりながら少しずつ道を覚えていくしかない、それでも続編のサイコソルジャーが本当に用意されていてCMでもその歌が鳴ったと知ると、幻みたいだった物語がちゃんと次へ繋がり、やがて麻宮アテナへ続くと思えて少し救われる。
出典:NATSU
📘 説明書資料(アテナ [SFX-AT])
説明書:gamingalexandria.com 所蔵版(アテナ [SFX-AT])
※Athena [SFX-AT](Famicom)(JP)
区分:説明書/Manual/Instruction_Booklet
※当時の説明書はgamingalexandria.comに保存された資料を参照 / 権利は各社に帰属します












発売日:1987/06/05|価格:5500円|メーカー:SNK|ジャンル:アクション
NAO: テープ聞くバツゲームに最適な名作ギャルゲー
NATSU: ギャルゲーの先駆け!幻の続編もあったとか