裏技
-
最強パスワード
名前入力を MAX502KM にして開始名前入力を MAX502KM にして開始
エピソード
トリビア
タイトーグランプリ 栄光へのライセンスは、1987年12月18日にタイトーから発売されたファミコン用のレース作品で、価格は5500円だ。レースと聞いて思い浮かぶ爽快さを期待して走り出すと、最初はその期待が少し空回りする。コースを走っているのにグランプリを勝ち抜く手応えが薄く、勝てない理由もすぐには見えにくい。ギア操作は手動で、速度を維持したいのに曲がりたい、曲がりたいのに失速したくないという当たり前の葛藤がそのまま難しさになる。さらに賞金とランクが絡み、勝てないと資金が増えず、資金がないと車が育たず、車が育たないと勝てない。街とコースを往復しながら何を優先して買うべきかを考えさせられて、気分はドライバーというより整備士に寄っていく。ここでつまずくと、入力どおり淡泊に感じる瞬間が確かにある。
ただ、迷子のまま放り出す作りではない。レース前に三曲と無音から曲を選べたり、まずは小さな車で堅実に勝ちを拾っていく導線がある。稼いだ賞金でエンジンやタイヤなどのパーツを揃え、挙動の癖を自分の手で矯正していくと、同じコースが急に違う表情を見せる。直線が伸びると早くなるだけでなく、カーブの安全圏も変わり、無理に攻めていた場所が素直に抜けられるようになる。するとレースの主役が運転から設計に移り、勝利の理由が説明できる快感に変わる。やがて上位の車種へ乗り換えられ、さらにF1クラスのレースへ進む段階では、銀河のように広い夢ではなく、具体的な目標としての昇格に変わる。その一方で、上に行くほど他車や障害物が一気に厳しく感じられ、ちょっとした接触で流れが崩れる。ここでまた心が折れそうになるのだが、折れそうな地点がはっきりしているから、次はパーツの選び方や走り方を変えようと考え始める。修行の手応えが戻ってくる。
遊び方の骨格は大きく二つに分かれていて、練習寄りの自由走行では最初から三台の車を選んで走れる。一方で本編の流れでは、賞金を稼いでパーツを買い、段階を上げていくことが中心になる。市街地のレースコースとF1用のコースが多数用意されていて、練習と本番で同じ道を何度も走り直せる。車は小さなミニから始まり、フェラーリ512BBのような高性能車、そして最終的にはF1車へと視界が開ける。ここで面白いのが、乗り換えが単なるご褒美ではなく、ギア比や加速の感触まで含めて別のゲームになるところだ。ミニは遅い代わりに失敗の傷が浅く、フェラーリは速さと引き換えに操作の粗が露骨に出る。F1に近づくほど、勝つために走りを整えるのか、走りのために車を整えるのかが逆転していく。また、当時の家庭用では珍しいほど、調整項目が前面に出てくる。速さを上げたいならエンジンに寄せたくなるが、カーブで破綻するならブレーキや足回りが先になる。どれも正解は一つではなく、コースの癖と自分の運転の癖が噛み合ったときだけ、あの淡泊さが急に濃い味に変わる。進行状況を保存できる前提で作られているから、何度も試して失敗して、少しずつ勝ち筋を太くしていける。逆に言えば、一晩で全部を理解しようとすると疲れる。少し遊んで、少し直して、また走る。そういう反復がこのゲームの気持ちよさだ。
裏側の話としても、この作品は当時としては野心的だ。資料では家庭用レースで車の性能をチューニングできる点が強く触れられていて、開発にはナウプロダクションが関わったとされる。タイトーは家庭用でもレースを自社の看板に据え、成長型のレースを正面から押し出した。ライセンスという言葉も、単なる格好良さではなく、積み上げた結果としての許可証に近い。だから、最初に勝てずに帰ってきたとしても、それは失敗ではなく、次の改造の理由が手に入ったということになる。勝てなかった夜が、翌日には調整の夜に変わり、いつの間にか自分だけの履歴が残っていく。グランプリ感より整備士気分が強かったという感想は、むしろこの作品の核心に触れていると思う。静かな画面のまま、車が育つ音だけが心に残る。
NAO総評
改造も契約もあるのに走ると淡泊すぎた、という短評が刺さるのは、当時の家庭用レースが派手な見せ場で気持ちよく終わる方向へ寄っていたからだと思う。ここは逆で、勝利よりも整備の算段と反省会が主役で、走りは成果発表会に近い。楽しさの場所がずれているぶん、分かった瞬間に冷静な中毒が始まる。娯楽が修行に変わる、その時代の空気まで映している。淡泊さを責めるより、設計思想の硬さを味わうべき作品だ。しかも意外と忘れにくい。
出典:NAONATSU総評
グランプリ感より整備士気分の方が強かったかも、という短評は、負けた理由が運転だけでなく準備の薄さとして返ってくる感触を言い当てている。速く走りたいのに、まずは部品を選び、金を稼ぎ、次の一戦へ備える。地味だけど、うまく噛み合った瞬間に手応えが跳ねるから、悔しさがそのまま次の夜の楽しみに変わっていく。親指より頭が熱くなるレース、という言い方が似合う。だからこそ家で続けられたし、勝った日の余韻も長い。静かに嬉しい。
出典:NATSU
📘 説明書資料(タイトーグランプリ [TFC-TG5500])
説明書:Internet Archive 所蔵版(タイトーグランプリ [TFC-TG5500])
※Taito Grand Prix [TFC-TG5500](Famicom)(JP)
区分:説明書/Manual/Instruction Booklet
※当時の説明書はInternetArchiveに保存された資料を参照。権利は各社に帰属します。












発売日:1987/12/18|価格:5500円|メーカー:タイトー|ジャンル:レース
NAO: 改造も契約もあるのに走るとなんか淡泊すぎた
NATSU: グランプリ感より整備士気分の方が強かったかも