エピソード
トリビア
1987年11月13日に日本物産から発売されたアルテリオスは、価格が5500円のアクションRPGで、未来感のある題名とパッケージから想像する冒険の親切さを、最初の数分で静かに否定してくる。宇宙のマップを小さな点で移動し、ワープポイントを探し、コロニーや惑星へ近づく。マップ上には敵影が点として現れ、接触すると即座に戦闘へ変わるのだが、その戦闘は急に一人称のシューティングになる。ワープポイントを見つけたときだけは道が開ける感覚があるのに、次の接触でまた緊張が戻る。RPGのつもりで構えた手が、照準と連射に切り替わるまでに間ができる。しかも敵弾は速く、回避の余地が少ない場面もあり、見とれた瞬間に即死する。NATSUの、美しさに見とれてたら即死、という記憶は、星図の魅力と不親切さが同時に迫ってくるこの作りそのものだ。惑星名や施設名が続くのに、地図の情報だけで進路を決める場面が多く、最初はどこへ行けばいいのか分からないという迷子感が自然に生まれる。舞台は三つの惑星と二つの小惑星帯が中心とされ、同じような点の集合の中で自分の位置だけが頼りになる。
救いがあるとすれば、この不親切さが無秩序ではなく、独特のルールの上に積み上がっている点だ。開始時にプレイヤーはサイボーグの能力を振り分け、攻撃力を伸ばすか、防御や回避を厚くするか、あるいはワープエネルギーに回すかを決める。この選択が後の難度を決めるのに、説明は多くない。武器はレーザーから段階的に強力なものへ変わり、戦闘では照準を動かして撃ち抜く一方で、特殊攻撃にワープエネルギーを消費する。つまり強くなりたいほど、移動や切り札に使う燃料が減り、旅がさらに苦しくなる。宇宙マップにはバリアで守られた施設や扉があり、クリスタルやパスワードで開くという要素が混ざる。パスワードは紙に書き留めないと先に進めない場面があり、未来的なのに一切優しくないというNAOの短評は、見た目の滑らかさと、紙のようなプレイヤー体験の落差を突いた言葉になる。美しさと不条理の間に立たされ、少しずつ自分のメモが増えていくほど、ようやく宇宙の地図が手触りを持ち始める。パスワードやクリスタルの管理は、攻略というより航海日誌に近い。
裏側の情報に触れると、この混ざり方がさらに面白く見える。物語では並行宇宙アルテリオスがブラックホールの影響で危機に瀕し、支配者が宇宙を分断するという設定があり、科学者が作ったサイボーグが討伐へ向かう。支配者サーベローラーと支配装置ギャラックスを倒す目的が明示され、目的地はあるのに道順は自分で作るしかない。制作側の情報では、企画と制作の中心人物や、音楽担当の名も残っていて、宇宙の冷たさと戦闘の焦りを同時に出す狙いが透ける。日本物産らしく宇宙戦とアクションの緊張を前面に出しつつ、RPGの成長と探索を重ねて、一本のゲームに複数の視点を押し込んだ。当時の日本物産が持っていたアーケード的な緊張を、家庭用にそのまま持ち込んだとも言える。技術面でもファミコンの映像と音源チップを前提にした表現が語られ、硬い構造の上に未来の絵を乗せている。日本国内のみで発売されたこともあり、後年は手描きの星図や攻略メモが語り継がれている。企業の作風と時代の試行錯誤が、そのまま作品の表情に刻まれている。遊ぶ側は迷子感とつまずきを抱えたまま進むが、その迷子感は、宇宙をさまよう演出と、当時の試みの粗さが同じ方向を向いているからこそ残る。未来の景色に心を奪われた瞬間に即死しても、なぜそうなったかをあとから言葉にできる。その厳しさまで含めて、時代の空気が画面に閉じ込められている。
NAO総評
未来感のある宇宙マップから一転して一人称シューティングに放り込まれ、説明の少ない能力配分とパスワード扉まで抱えてくるのが容赦なくて、並行宇宙とブラックホールの物語を語りつつ実態は弾幕で黙らせる、そのねじれがたまらない、優しさの代わりにメモと反射神経を要求する設計は、日本物産の硬さと当時の野心が同居した不器用なロマンとして刺さる。三つの惑星と二つの小惑星帯を点で渡る感覚が荒くて、攻略というより自分の航海日誌を作らされるのがまた面白い。
出典:NAONATSU総評
星図のきれいさに見とれた瞬間に弾が飛んできて即死してしまうのに、ワープポイントを見つけたり、書き留めたパスワードが次の扉で役に立ったりすると急に旅が進んだ気がして、迷子のままでも宇宙を歩けた思い出が残る、強くなりたいほど燃料が減るみたいな不器用さもあって、支配者を倒す筋を追いながら泣きそうになって、それでもメモが増えるほど自分の宇宙が広がっていく感じが好きだった。きついのに景色が忘れられない。今も。
出典:NATSU
📘 説明書資料(アルテリオス [NBF-AU])
説明書:Internet Archive 所蔵版(アルテリオス [NBF-AU])
※Artelius [NBF-AU](Famicom)(JP)
区分:説明書/Manual/Instruction Booklet
※当時の説明書はInternetArchiveに保存された資料を参照。権利は各社に帰属します。












発売日:1987/11/13|価格:5500円|メーカー:日本物産|ジャンル:アクションRPG
NAO: 未来感あふれるのに、プレイヤーには一切優しくない
NATSU: 美しさに見とれてたら即死、って何度繰り返したか