ドラゴンクエストIII そして伝説へ…

ドラゴンクエストIII そして伝説へ…

ドラゴンクエストIII そして伝説へ…

発売日:1988/02/10|価格:5900円|メーカー:エニックス|ジャンル:RPG

NAO: 並んだ。休んだ。殴られた。まさに伝説だった

NATSU: 転職、カンダタ、ゾーマ…全部思い出に残ってる

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ドラクエシリーズ

エピソード

  • トリビア

    1988年2月10日、エニックスから5900円で出たこのRPGは、遊ぶ前からもう落ち着かない。ゲームの迷子感は、画面の中だけの話ではなかった。店頭には長蛇の人が集まり、池袋のバーゲンショップでは1万人を超える列になったと当時の新聞が伝えている。開店の時刻より先に体力を使い、手に入れた瞬間にもう休みたくなるのに、そこが終点ではない。都内では小中高生の補導が相次いだとも報じられ、買っただけで社会の渦に触れてしまう空気があった。

    そして家に帰って電源を入れると、今度は別の意味で足元が揺らぐ。前作までの延長だと思って始めると、仲間作りや職業選びを含むキャラクターメイキングが最初から重要で、しかも勇者以外は後から転職できる。どこを目指すかより先に、どんな自分たちで旅をするかを問われる。説明されることが多いわけではないのに選択は重い。ここで少しでも噛み合わないと、世界は広いのに手がかりは細く感じる。

    迷子の正体は、地図の広さだけではない。街と外の往復で少しずつ情報を拾い、船や鍵がそろって行動範囲が増える構造は王道なのに、本作は自由度の顔をして寄り道の誘惑が強い。酒場で仲間を出し入れできるから、失敗した編成を引きずらずに立て直せる一方、今度は誰を育てるかで悩みが増える。登録できる人数も多く、過去の自分の判断が常に横に並ぶ。迷う余地が丁寧に用意されている。

    ここに時間の概念が混ざると、さらに感覚がずれる。夜になると町の人の反応が変わり、店が閉まり、眠る人が増える。昼間に正しいはずの場所が夜には静まり返り、逆に夜だから見つかる筋もある。テドンのように夜だけ空気が一変する町もあり、昼の常識で歩くと何もつかめない。遊ぶ側は、何かを見落としたのか、時間が違ったのか、そもそも場所が違うのかで迷う。仕掛けは派手ではないのに、足元だけが気づかないうちにズレていく。

    でも救いも同じくらい強い。分からないまま歩き回って、ようやく言葉が線になる瞬間がある。酒場で編成を変え、ダーマの神殿で転職を覚えると、詰まり方が変わる。レベル20で転職し、レベルは1に戻っても呪文を残せるという仕組みは、遠回りを未来の近道に変える。魔法使いから戦士へ、僧侶から魔法使いへ、育てた時間が形を変えて残るのが気持ちいい。迷うほど、やり直しの道具が増えていく。

    転職は単なる育成要素ではなく、物語の手触りまで変える。どの職で誰を前に出すかで、同じ洞窟が別の場所に見える。武闘家の会心が恋しくなったり、商人の小さな得が妙にありがたくなったりする。勇者だけは転職できず、主人公であることが制約として残るのも面白い。自由の中心に動かない杭が一本刺さっているから、周りの自由が際立つ。

    裏側の話をすると、この自由度は気分だけで生まれたものではない。ROMは前作の2倍の容量を使い、バッテリーバックアップを搭載してセーブ領域も確保した。これによって仲間作りや転職を含む情報量を抱えられ、削ぎ落とされていた要素を形にできたと説明されている。開発はチュンソフト、発売はエニックスで、堀井雄二のシナリオ、鳥山明のグラフィック、すぎやまこういちの音楽という骨格もここでさらに太くなった。遊ぶ側の迷子感は、当時としては贅沢な容量と設計の裏返しでもある。

    宣伝と熱の回り方も独特だった。平日発売だったこともあり、当日の行動は家族や学校の都合と真正面からぶつかる。整理券や購入の段取りを気にして動き、開店前に店の前へ立ち、手に入れたらすぐ家へ帰りたいのに、帰り道さえ落ち着かない。実際に買った直後のソフトが強奪される事件も新聞で報じられており、予約してようやく手に入れた中学生が帰宅中に奪われたという具体的な記事まで残っている。ゲームの中で盗賊と戦う前に、現実のほうが物騒に見えてしまう皮肉があった。

    販売面でも伝説は数字として残る。発売初日に100万本以上を売ったとされ、社会的な過熱に伴って補導が発生したことも記録されている。よく法律ができたという話が流れるが、少なくともシリーズ側は後の作品を週末発売へ寄せる対応を取ったと説明されている。つまり外から締め付けられたというより、自分たちで熱の向きを少し変えた面がある。熱狂が作品の外側の設計まで動かしてしまった、珍しい例だ。

    ゲームの中身に戻ると、印象の強さは大きな山場だけではない。カンダタのような分かりやすい敵役がいる一方で、世界の裏側に気づいた瞬間に、過去作の記憶が急に意味を持ちはじめる。最後に待つゾーマは強さだけでなく、ここまで積み上げてきた旅の重さそのものとして立ちはだかる。転職や育成で遠回りした時間が、最後に全部自分の足腰として返ってくるから、勝った時の手応えが軽くない。

    だからこの作品の伝説は、並んだかどうかだけでは測れない。買うまでに疲れ、買った後も気が抜けず、やっと遊び始めてもすぐ優しくはしてくれない。それでも、迷っている時間そのものが冒険になり、やり直しの仕組みが救いになり、気づけば昔の自分が何度も戻ってくる場所になる。伝説は物語の中にだけあるのではなく、手に入れるまでと、手に入れた後の暮らしのほうにも残ってしまう。そんなRPGだった。

  • NAO総評

    アニメ的なお祭りの裏に、現実のほうが妙に殺気立っていたのが象徴的。平日発売で列に体力を吸われ、やっと手に入れても補導や強奪の話が飛び交う。遊び始めれば今度は自由度の顔をした不親切が待っていて、迷子になるほどの設計が重さに見えてくる。それでも転職と蓄積が救いになり、疲労と熱狂ごと伝説に変えてしまうのが怖い。

    出典:NAO
  • NATSU総評

    転職して強くなっていく喜びと、どこへ行けばいいか分からない不安が同じだけ残ってる。カンダタで笑って、寄り道で迷って、やっとゾーマへ届いた時の静かな達成感が忘れられないのよね。難しいのにやめられないのは、街と迷宮の往復がいつの間にか生活のリズムになるからだと思う。あの頃の時間ごと、冒険の書に閉じ込められてる感じがする。

    出典:NATSU

📘 説明書資料(ドラゴンクエストIII [EFC-D3])

説明書:Internet Archive 所蔵版(ドラゴンクエストIII [EFC-D3])
※Dragon Quest III[EFC-D3](Famicom)(JP)
区分:説明書/Manual/Instruction Booklet
※当時の説明書はInternetArchiveに保存された資料を参照。権利は各社に帰属します。

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