エピソード
トリビア
時空勇伝デビアスは、1987年11月27日にナムコから発売されたファミコンのアクションRPGで、価格は4900円。現代の人間である主人公が時空の歪みに巻き込まれ、守護者アーロンの言葉を手がかりに、魔王デビアスに支配された王国アルマータを救うことになる。題材は王道でも、遊び始めの感触はかなり冷たい。横視点の移動は慣性が強く、段差の端で止まりたいのに一歩だけ滑って落ちる。攻撃の間合いも独特で、最初のジャンプでこれヤバいと察する。迷子になるのは操作だけが理由ではない。ゲームは三つのエリアを好きな順で選べる構造で、どこへ行くのが正解かが見えないまま投げ出される。さらに昼と夜の時間が流れ、夜になると町の店が閉まり、外は敵が増えて危険になる。戻る場所があるのに戻れない時間が生まれるから、手探りの不安がそのままゲームの空気になる。
システム面の救いは、街に戻って装備を整え直せることと、パスワードで続きから再開できることだ。ただしゲームオーバーからの再開では、所持金とテックが半分になる。続けるほど次の準備が重くなるので、ここでも緊張が途切れない。画面下にはライフとスピリット、テックとゴールドが並び、スピリットを消費してアーロンに助言を求められる。テックは質問の選択肢を増やす意味を持ち、単なる数値ではなく道標の強さに直結しているのが面白い。さらに町の住人を攻撃できてしまい、うっかり殺してしまうと王が怒って店が使えなくなる。世界に干渉できる自由さが、そのまま自分の首を絞める仕掛けになっている。ダンジョンは水と地と火の三系統が用意され、各エリアのボスを倒して進めていく。最後には選択で結末が分岐するので、ただ生き残るだけでなく、どんな答えを返すかまで問われる。アーロンは単なるナビ役ではなく、スピリットを消費して呼び出す存在で、頼りすぎれば自分が先に息切れする。質問の選択肢を増やすためにテックを稼ぐ必要があり、戦闘と情報収集が同じレールに載っている。ヒントのルーン文字は見つけた瞬間に安心させておいて、解読という二段目の壁を置く。迷子の原因を増やすようでいて、実は手がかりを必ず画面に残す設計でもあり、落下や接触死の苛立ちを、次の行動の確信に変えていく。
たとえばジャンプにも癖があり、通常より高く跳ぶ操作が用意されている。説明が少ないぶん、知っているかどうかで探索の手触りが変わる。文字表示の速度も上下入力で変えられるなど、遊びやすさの工夫自体は埋め込まれているのに、表に出てこない。この隠し気味の親切と、表の不親切が同居する感覚が、本作の独特の体温だ。この作品を語るうえで外せないのが、付属品として同梱された円盤状のアーロンのお守りだ。ゲーム中にはルーン文字で書かれたヒントが現れ、お守りを合わせて解読することで進行の手がかりが得られる。手元にお守りがない場合、ヒントの解読ができず謎解きの難度が上がるが、ゲーム自体はクリア可能とされている。パッケージに物理の小道具を同梱する手法は、英語圏ではフィールイと呼ばれる文脈で語られ、この作品もルーン解読用のデコーダーが用意された例として扱われている。開発はナムコとナウプロダクションが関わったとされ、横視点で街とダンジョンを行き来する作りは同時代のアクションRPGの流れに連なる。けれど本作は、ヒントを見つけても読めないという一段深い迷子を仕込むことで、遊ぶ側の姿勢まで試してくる。だからこそ、操作の癖に慣れ、昼夜の都合を読み、アーロンの言葉がつながった瞬間に、ようやく救いが訪れる。八十年代のファミコンらしい不親切さと、妙に凝った仕掛けが同居した一本で、往復地獄にハマっている時点で立派な中毒だと気づかされる。
NAO総評
アニメの軽妙さを想像して起動すると、最初のジャンプで慣性と判定の癖に叩き返される。その理不尽さは偶然じゃなく、昼夜の切り替えで町が閉まり、うっかり荒れると店が使えなくなる。さらに解読具を同梱して迷子を前提にする徹底ぶり。操作の順応と情報の読み解きが同じ重さで要求される。時空よりまず慣性を超えろという短評が、発売当時の遊びの硬派さをそのまま照らしている。遊び手を甘やかさないのに、筋道はちゃんと用意されている。そこが憎い。
出典:NAONATSU総評
未来から飛ばされたみたいな導入にわくわくするのに、画面は静かで、足元はすぐに裏切る。美しさに見とれて落ちて、敵に触れて落ちて、街へ戻ってまた落ちる。最初のジャンプでこれヤバいって察するのに、装備を揃え、夜を避けて、少しだけ先へ進めた日の達成感が忘れられない。往復地獄は苦しいのに、気づけば中毒みたいにまた起動してしまう。迷子になっても、町の人の言葉やお守りの答え合わせで道が戻る瞬間があって、それが救いになるの。
出典:NATSU
📘 説明書資料(時空勇伝デビアス[NAM-DE])
説明書:Internet Archive 所蔵版(時空勇伝デビアス[NAM-DE])
※Jikuu Yuuden - Debias [NAM-DE](Famicom)(JP)
区分:説明書/Manual/Instruction Booklet
※当時の説明書はInternetArchiveに保存された資料を参照。権利は各社に帰属します。











発売日:1987/11/27|価格:4900円|メーカー:ナムコ|ジャンル:アクションRPG
NAO: 操作性がクセ強すぎて、時空よりまず慣性を超えろ
NATSU: 最初のジャンプで「これヤバい」って察するゲーム