エピソード
トリビア
仮面ライダー倶楽部 激突ショッカーランドは、1988年2月3日にバンダイからファミリーコンピュータ向けへ発売された、価格5500円のアクションRPGだ。最初につまずくのは、怪人の強さより先に財布が尽きることだった。街の門をくぐるにも金が要り、病院で回復するにも金が要り、強い敵ほど懐が温まるどころか消耗だけが先に立つ。しかも主人公は一人ではない。1号と2号が並び立ち、操作を切り替えたり協力したりして進むのに、路地の角で出会う敵は容赦なく、ミスの代償がそのまま出費に直結する。特撮の爽快感を期待して起動したのに、まず家計簿の綱渡りが始まる。この迷子感こそが、この作品の入口であり、NATSUが言うショッカーより金が怖いという感触を、最初の数分で確信に変えてくる。
仕組みは独特で、フィールドを歩く場面は見下ろし型、敵と接触すると横視点のバトルへ切り替わる。バトルではパンチやキックだけでなく、ライダーごとの必殺技があり、ステージ内の壁を壊して道や展開を変えたり、アイテムを引き当てたりする。さらに2号側のコントローラにはマイクがあり、街の風車に向かって声を出すと風車が回って体力が回復するなど、ファミコンの変則入力を遊びの一部にしている。街には病院や銀行があり、集めた金を預けておかないと先へ進めない。道中にはルーレットの運試しも置かれていて、勝てば楽になり、外せば一気に苦しくなる。そして決定的なのは、各地のボス戦が必ずしも討伐のためだけに存在しないことだ。戦いの場で話をして情報を得る場面があり、勝てない相手に出会っても、まず会話を引き出して道筋をつかむ余地が残る。だから攻略の主役は、腕前だけではなく段取りと資金繰りになる。NAOが言う財布の恐怖が、ゲームのシステムで毎回更新されていく。
裏側に目を向けると、本作は特撮の長寿フランチャイズ仮面ライダーをゲームへ落とし込んだ、当時のメディア展開の一部として位置づけられる。英語版の概説でも、仮面ライダーがテレビや映画に加えて漫画やゲームへ広がるメディアフランチャイズであることが説明されている。 そして開発元としてはトーセがクレジットされている。トーセは受託開発を多く手がける企業として知られ、作品によっては名義が表に出ない形で関わることがある。 ただし本作がどのような企画経緯で、どこまで原作側の監修が入ったのか、宣伝や制作判断の内側がどうだったかは、公開情報だけでは確実に言い切れない。だからこそ確実に言える事実として、街、金、運試し、二人操作、マイク回復、会話で手がかりを得るボス戦という要素が一本の流れに組まれ、仮面ライダーの強さを別方向から体験させようとしている点を拾うのがいちばん正確だ。
そうして遊び終えると、この作品の余韻は勝利の快感より、あの苦しい出費の記憶に残る。強さよりも段取りが問われる時間が長いから、子どものころは理不尽に見えるのに、大人になって触れると妙に納得してしまう瞬間がある。仮面ライダーは正義の物語なのに、このゲームはまず生活を守れと言ってくる。そのズレが、ツッコミとしてではなく、体験として心に残る。怪人の怖さを越えて、財布の底が見える怖さまで含めて、昭和の終わりの版権ゲームが持っていた現実感を、きれいに封じ込めた一本だ。
NAO総評
正義の味方が門をくぐるたびに料金を払う。そこに本作の皮肉がある。アクションRPGの顔で、実態は金策と段取りの試験だ。二人操作で忙しいのに、病院も銀行も容赦なく請求してくる。ボスは倒すより会話で情報を抜く場面があり、勝利の快感より交渉の冷たさが残る。トーセのような影の受託開発が支えた時代らしく、仕掛けは多いが親切さは薄い。ショッカーより財布が怖いと気づいた瞬間、ライダー道が生活道に変わる。それでも妙に中毒性がある。
出典:NAONATSU総評
最初はショッカーの島に行くはずなのに、現実は街と迷宮を往復して金を工面する毎日で、子ども心に背伸びしながら必死だった。強敵に倒されて帰るたび、悔しいのにまた門の前に立ってしまう。風車に向かって声を出すと回復するのが可笑しくて、家の空気まで少し明るくなる瞬間があった。二人のライダーと一緒に、私の財布も何度も全滅した。難しさに泣いた記憶が先に来るのに、音と歩幅の感触が残っていて、ふとした夜にまた起動したくなる。あの時代の頑張り方を思い出させてくれる。
出典:NATSU
📘 説明書資料(仮面ライダー倶楽部 激突ショッカーランド [BA-KAMEN])
説明書:レトロゲームの説明書保管庫(仮面ライダー倶楽部 激突ショッカーランド [BA-KAMEN])
※kamen-rider-club [BA-KAMEN](Famicom)(JP)
区分:説明書/Manual/Instruction_Booklet
※レトロゲームの説明書保管庫様による保存資料です。 / 権利は各社に帰属します。












発売日:1988/02/03|価格:5500円|メーカー:バンダイ|ジャンル:アクションRPG
NAO: お金とアクションRPGに落とし込まれた仮面ライダーの試練
NATSU: ショッカーより金が怖い。財布が全滅するライダー道