ロットロット

ロットロット

ロットロット

発売日:1985/12/21|価格:5200|メーカー:徳間書店|ジャンル:パズル

NAO: 赤と緑の玉がこんなに重いなんて。
NATSU: 積んで消して、でも何も残らない。

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エピソード

  • トリビア

    1985年12月21日、徳間書店トクマソフトより発売されたファミリーコンピュータ版『ロットロット』は、テーカン(現コーエーテクモゲームス)がアーケードで発表した同名タイトルの移植作品である。開発はマイクロニクスが担当し、価格は5200円。画面上に上下二段のスロット構造を持つ独特のフィールドを備え、プレイヤーは上段から流れてくる赤と緑の玉を、パイプの開閉を操作して下段の箱へと導く。単純なルールながら、テンポと反射のバランスが崩れた瞬間に制御不能へ陥る緊張感を備えた知的アクションパズルである。

    操作は十字キーでカーソルを動かし、Aボタンでパイプを開き、Bボタンで閉じる。タイミングを誤ると玉同士が衝突して爆発、スコアが減点される。連続成功でボーナス倍率が上がるため、流れを止めずに制御し続けることが高得点の鍵となる。後半になると落下速度が急上昇し、色違いの玉が複雑に交錯する。視覚的な情報処理と判断速度が問われ、思考よりも本能に近い感覚で動かざるを得なくなる。見た目は地味だが、システム全体が“焦り”を軸に設計されており、単純さの中に人間の判断力を極限まで試す構造が隠されていた。

    ファミコン版はアーケード版に比べ動作速度がわずかに遅く、音も乾いた電子音のみという簡素な構成だったが、それが逆に集中を促した。ゲームが進むにつれて画面は徐々に息詰まるような緊張を帯び、玉の流れに支配される感覚を覚える。流し込みをミスして爆発が起こるたび、心拍が跳ね上がる。連続して成功させる快感と、次の瞬間に崩壊する恐怖。プレイヤーは成功と失敗の間を往復しながら、無意識に“完全制御”を夢見る。この感覚はアクションというより心理実験に近く、当時の子どもたちの間では「目と指が混乱するゲーム」として記憶されている。

    本作の発売と同時に、徳間書店は『エグゼドエグゼス』と連動した「メンバーズ・ステッカーキャンペーン」を展開した。説明書には応募要項が掲載されており、プレイヤーが到達スコアを報告すると、成績に応じて特製ステッカーが贈られる仕組みだった。構成は以下の通りである。シルバー・メンバーズ・ステッカー=50万点で先着2000名、ゴールド・メンバーズ・ステッカー=200万点で500名、プラチナ・メンバーズ・ステッカー=500万点で100名、そして最高位のロイヤル純金・メンバーズ・ステッカー(24KGP)が1000万点達成者の中から10名。高得点を夢見て手紙を送るという体験は、当時としては画期的な“現実接続型スコアチャレンジ”であった。

    しかし現実には、難度の高さと得点上昇の鈍さから、応募者は予想より少なかったとされる。後年の資料では「エグゼドエグゼスほど盛り上がらず、応募は少数にとどまった」との記録も残る。配布実績でも、ロイヤル純金の当選はごくわずか、確認されたシルバーは百枚程度に過ぎないという。徳間が意図した“スコア競争の祭典”は、結果としてごく一部の熟練者だけが辿り着く孤高のイベントになった。けれどもその無理のある挑戦設計が、逆説的に『ロットロット』というゲームの性格を際立たせた。高得点が遠く、報われないほど、この作品は人の粘りと執念を試すものへと変わっていった。

    赤と緑の玉をさばく行為は単なるパズルではなく、自分の思考を制御する試みだった。完璧に流れを掴もうとするほど、わずかなミスが巨大な破綻を生む。その反復の中で、プレイヤーは次第に“成功する快感”ではなく“続ける快感”を覚えていく。ゲームの冷たさと無機的な音の裏に、奇妙な陶酔が潜んでいた。『ロットロット』は、目立つ演出も派手な敵も持たないが、ファミコン黎明期において“人間の集中と焦燥”を最も正確に映した一本であり、今なお静かな異彩を放っている。

  • NAO:総評

    制御とは錯覚であり、パイプを開閉するたびにそれを思い知らされる。完全に支配したと思った瞬間に崩れる流れ、得点が伸びないまま焦りが積み上がる構造は、人の欲をそのままゲーム化したようだった。1000万点も夢のまた夢。応募者が少なかったのは当然だろう。だが、あの不毛な努力の中にしか生まれない充実も確かにあった。ロットロットは報酬よりも、自分の集中を証明するための装置だった。成功しても失敗しても、手は止まらない――その繰り返しこそが、このゲームの本質だ。

    出典:NAO
  • NATSU:総評

    赤と緑の玉を見つめながら、時間の感覚が消えていった。うまく流れても、次の瞬間には崩れる。何度やってもスコアは伸びず、応募の夢は遠い。それでもコントローラを握る手を離せなかった。静かな音の中で、玉の動きだけが生きている。誰にも見られない努力を続けることが、なぜか心地よかった。報酬なんていらなかったのかもしれない。あの無音に近いBGMと、画面を支配した一瞬の達成感。それだけで十分だった。『ロットロット』は、誰かに勝つためのゲームではなく、自分を確かめるための儀式みたいな存在だった。

    出典:NATSU
  • 📘 説明書資料(ロットロット [GTS-LL])

    説明書:Internet Archive 所蔵版(ロットロット [GTS-LL])
    ※Lot Lot [GTS-LL](Famicom)(JP)
    区分:説明書/Manual/Instruction Booklet

    出典:※当時の説明書はInternetArchiveに保存された資料を参照 / 権利は各社に帰属します
  • メンバーズ・ステッカーキャンペーン

    出典:archive.org / ファミリーコンピュータmagazine_1986年2号

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