エピソード
トリビア
ミリピード 巨大昆虫の逆襲を触った最初の印象は、タイトルの物々しさに対して遊びがやけに昔っぽいところにあると思う。1987年10月1日にHAL研究所から3900円で出たシューティングなのに、画面は一画面固定で、敵は上から降ってきて、こちらは下側の限られた範囲でさばき続ける。横スクロールの派手さや大きな演出を想像していると、期待の置き場を失って地味に感じるし、NAOの言う時代遅れ感が先に立つ。そもそも元は1982年のアーケード作品で、センティピードの流れを汲む続編として作られた固定画面型だ。1987年のファミコンでそれを遊ぶと、古さが目立つのは自然でもある。
つまずきが決定的になるのは操作性だ。敵の種類が増え、キノコの森が混んでくるほど、狙う、避ける、位置を変えるが同時に要求される。アーケードではトラックボールとボタンで素早く細かく動かす設計が語られていて、そこが気持ちよさの芯だった。 それを十字キー中心で扱うと、わずかな遅れがそのまま被弾になる。NATSUが巨大昆虫より操作性の方が難敵と言いたくなるのも分かる。さらに本作はキノコが邪魔にも盾にもなり、敵を割って増やしてしまう場面もあるから、撃つほどに盤面が厄介になる瞬間がある。地味に見えるのに忙しい。この矛盾が、印象を薄くする原因にも、やめられなくなる原因にもなる。
救いは、古さがそのまま遊びの読みやすさにもつながっている点だ。敵の進み方は規則があり、キノコの並びは次の危険の予告になり、追い詰められた時にはDDT爆弾が助け舟になる。DDTは撃つと爆発して周囲を巻き込み、うまく引き寄せて起爆できれば一気に盤面が掃除される。 そして移植ならではの小さな違いも面白い。アーケードでは耳の長い虫がキノコを毒にして進路を狂わせる要素が語られるが、ファミコン版とNES版ではその毒化が無いとされる。 だから理不尽さが少しだけ丸くなり、純粋に動きと判断の反復になっている。裏側の情報としては、これはATARI作品の移植で、HAL研究所が日本のファミコン向けに出したことが公式の作品紹介とクレジットで示されている。 古い設計をそのまま持ってきたのではなく、家庭用の枠に収めるために要素を取捨選択している。だからこそ、時代遅れに見えながらも、反射神経だけではなく段取りで勝てる余地が残る。今日の目で派手さを求めると物足りないのに、数分だけのつもりで始めるともう一面だけが続いてしまう。逆襲劇の相手は巨大昆虫というより、古い設計を現代の手で扱う自分自身なのかもしれない。
NAO総評
逆襲と銘打つわりに、一画面固定の古典が淡々と始まる。その肩透かしが時代遅れ感に直結するけど、古いからこそ盤面の読みが効いてくるのが皮肉だ。DDTの一発逆転や、撃つほど増える厄介さは、派手さの代わりに計算を要求する。流行の派手さを追わず、古さを武器にした移植だと思えば筋が通る。
出典:NAONATSU総評
巨大昆虫が怖いというより、思った通りに動けない瞬間がいちばん怖い。アーケードの手触りを知っている設計だから、十字キーで追い付かない感じが余計に刺さる。でもDDTを当てられた時だけは気持ちが軽くなるし、盤面が片付くと急に上手くなった気がする。その小さな救いが、地味なのに何度も戻ってしまう理由だと思う。
出典:NATSU
📘 説明書資料(ミリピード 巨大昆虫の逆襲 [HAL-ML])
説明書:Internet Archive 所蔵版(ミリピード 巨大昆虫の逆襲 [HAL-ML])
※Millipede - Kyodai Konchuu no Gyakushuu [HAL-ML](Famicom)(JP)
区分:説明書/Manual/Instruction Booklet
※当時の説明書はInternetArchiveに保存された資料を参照。権利は各社に帰属します。












発売日:1987/10/01|価格:3900円|メーカー:HAL研究所|ジャンル:シューティング
NAO: 時代遅れ感が否めない逆襲劇
NATSU: 巨大昆虫より操作性の方が難敵