ミネルバトンシリーズ
エピソード
トリビア
この作品の顔は傭兵と仲間の二重構造だ。道具まわりも独特で、回復薬、鍵になる遺物、装備といった具合に区分され、整理しながら旅を進める感覚が強い。宿代や蘇生の費用がどの町でも同じに揃えられているのも妙に現実的で、数値の手触りが先に立つ。斡旋所で傭兵を雇い、戦闘中だけ呼び寄せて自動で戦わせられる。傭兵は主人公たちとは別に経験を積んでクラスアップし、戦闘が終わると傷が全快する一方、倒れた傭兵は二度と戻らない。切り替えは戦闘中でも可能で、主人公で削ってから傭兵にとどめを任せるような育て方もできる。しかも切り替え後も弾や魔法が飛び続けるため、事前に撃った一手が残像のように働く瞬間がある。さらに傭兵とは別枠で仲間がいて、射手タイプと魔道師タイプの二系統が入れ替わりながら同行する。ただし仲間は成長せず、倒した敵の経験は主人公に入る。代わりに装備が引き継がれるので、誰が来ても最低限の戦力は保てる。この便利さと薄情さの組み合わせが、地味な名作感の正体だと思う。
一方で、迷子感は最後まで消えない。パーティは三角形に並んで移動し、角で引っかかったり主人公から逸れたりすると勝手に抜けてしまうことがある。追いかけようとしても同じ速度で逃げるように動くから、焦るほど追いつけない。見た目も町の住民と大差がなく、いま自分が誰を探しているのか分からなくなる。そういう不器用さが、世界の不気味さと一体になっている。物語は滅ぼされた王国の王子が、救ってくれた神官の告白をきっかけに旅へ出るという直球で、世界は南オフェーリアを中心に広がる。船を得ると行動範囲が一気に開け、ようやく冒険が自分のものになる。説明の少なさを埋めるのは、町の会話が進行で変化する仕掛けで、同じ場所が少しずつ別の顔を見せる。
裏側を見ると、開発はアーテックが担い、シナリオは羅門祐人、音楽は大山曜と津田治彦、パッケージ絵は米田仁士が担当し、発売時には大人になる前にしておきたい大仕事という言葉で宣伝された。翌年以降のRPGが派手さを競う前に、実用性と仕掛けで勝負しようとした企画だったのだと思える。シリーズとしてはここが出発点で、後にシルヴァ サーガへ連なり、続編側はターン制へ舵を切った。海外では正式発売はないが、ファン翻訳が公開されたり、作品を題材にしたトリビュートCDが出たりして、静かな支持が長く続いたことも分かる。秋の雑誌広告まで残っているのに、遊ぶとどこか影が薄い。その影の薄さが、傭兵に名前以上の愛着を生み、全滅や永別の痛みを本物にしてしまう。怖さとカッコよさが同居する夜を、今もそっと思い出せる作品だ。
NAO総評
最初の数分は王道RPGの顔をしてるのに、戦闘に入った瞬間だけ体当たり勝負になる。その落差で迷子になるのが、この作品の入口だ。だから何を切るかより何を拾うか、という感覚が効いてくる。道具も仲間も傭兵も、拾って並べて試すほど強さが立ち上がる。バッテリーバックアップや一律料金の街など、当時の実用志向も透けて見えて、タイトーの野心が静かに刺さる。ただし親切ではない。自動で動く味方に振り回され、強い敵は容赦なく消耗させる。そこまで含めて八十年代のRPGの空気を観察する一本だ。
出典:NAONATSU総評
最初は地味で、どこへ行けばいいのか分からず立ち止まるのに、傭兵を雇って戦場に呼び出した瞬間だけ世界がにぎやかになる。その差が不思議で、何度も試したくなった。自動で動く仲間や傭兵に任せきりにできそうでできなくて、結局は自分の一手が要になるのも好き。気づいたら傭兵に妙な愛着が湧いていて、倒れて帰らないと知った時は本気で落ち込んだ。怖さとカッコよさが同居する、静かな熱を持つRPGだった。だからこそ一歩ずつ進めた夜の記憶が、今も残っている。
出典:NATSU
📘 説明書資料(ミネルバトンサーガ ラゴンの復活[TFC-MS5500])
説明書:Internet Archive 所蔵版(ミネルバトンサーガ ラゴンの復活[TFC-MS5500])
※Minelvaton Saga - Ragon no Fukkatsu [TFC-MS5500](Famicom)(JP)
区分:説明書/Manual/Instruction Booklet
※当時の説明書はInternetArchiveに保存された資料を参照。権利は各社に帰属します。














発売日:1987/10/23|価格:5500円|メーカー:タイトー|ジャンル:RPG
NAO: 傭兵システムと地味な名作感がたまらないんだよなあ
NATSU: 気づいたら傭兵に愛着湧いてて全滅時に本気で凹んだ