ファミリートレーナー ランニングスタジアム

ファミリートレーナー ランニングスタジアム

ランニングスタジアム

発売日:1986/12/23|価格:4900円|メーカー:バンダイ|ジャンル:スポーツ

NAO: 走ってるだけなのに笑える。これが家庭の運動会。
NATSU: 全身を使ったファミコン体験、筋肉痛は翌日。

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ファミリートレーナーシリーズ

エピソード

  • トリビア

    1986年12月23日、バンダイからファミリーコンピュータ向けに発売された『ファミリートレーナー ランニングスタジアム』は、定価4900円、専用のマット型コントローラを用いて全身で挑む体感型スポーツゲームである。本作は、ファミコン本体の前に専用マットを敷き、足で直接操作するという独自のインターフェースを提案。コントローラを指先で操る従来の遊びを根本から覆し、家庭の空気を一瞬にして運動会へと変質させる装置であった。

    視点の変革と身体性の同期
    本作は「ファミリートレーナー」専用ソフトの第2弾であり、マットのB面(12キー)を使用する。特筆すべきは、前作『アスレチックワールド』が採用していた横スクロール形式を脱却し、ランナーが画面奥へと走り抜けていく「立体的な後方視点」を導入した点である。これにより、画面上の走者の向きとプレイヤーの身体の向きが完全に一致。視覚情報と足踏みという身体動作が高度に同期し、当時の家庭用ゲームとしては異例の没入感を実現した。

    収録競技は100メートル走、110メートルハードル、走り幅跳び、三段跳びの四種目である。単なる足踏みの連打では記録は伸びない。求められるのは、各競技の特性に応じた正確なステップとリズムの維持である。走る種目ではピッチを上げ、跳ぶ種目ではタイミングを計って踏み込む。この「間合い」の概念が乱れた瞬間に画面上の走りは崩れ、焦燥感を生む。翌日の筋肉痛が免れぬほど過酷な身体への要求は、後年のダンス系ゲームやフィットネス系ソフトの先駆的な系譜として位置づけられる。当時の読者投票における18.12点という評価は、娯楽としての面白さ以上に「疲労」という肉体的代償を突きつけられたプレイヤーたちの、率直な戸惑いの表れでもあった。

    開発の系譜:TRYからヒューマンへ
    制作面でのトリビアとして重要なのは、開発元として記された「TRY(トライ)」の名である。このTRYに関わった技術者たちが後に統合され、アクションゲームやスポーツゲームで名を馳せる「ヒューマン」へと繋がっていく経緯は、本作の持つ職人堅気な操作感覚を裏付けている。周辺機器という特殊な土壌において、いかにしてプレイヤーの入力を正確に画面へ反映させるか。その飽くなき追求が、本作のストイックな競技性を作り上げたと言い切れる。

    数奇な運命:世界一高価なソフトへの変転
    本作の歴史を語る上で避けて通れないのが、海外市場における極端な変転である。北米では当初『Family Fun Fitness』シリーズの一環として『Stadium Events』の名で発売された。しかし、その直後に任天堂が北米市場におけるマット型周辺機器の権利を取得。機器は『Power Pad』へと改称され、ソフトも『World Class Track Meet』として1988年に再発売されることとなった。

    このライセンスの移行に伴い、『Stadium Events』は市場から短期間で回収された。生産本数約2000本、推定販売数わずか200本というこの極端な希少性は、後にコレクターズアイテムとしての価値を暴騰させた。2010年に未開封品が約4万ドル(当時のレートで約370万円以上)で落札された事例は、同じ中身のソフトであっても、ラベルとロゴ一つでその価値が天文学的に変動するという、周辺機器ビジネスの冷徹な側面を象徴している。一方で、後に任天堂ブランドで普及した同内容は、最終的に世界累計308万本という驚異的な売上を記録。本作は「最も多く遊ばれ、かつ最も希少な」という矛盾を抱えた稀有な作品となったのである。

    結論:生活習慣に割り込むという発明
    『ランニングスタジアム』の本質は、テレビの前で必死に足踏みをする姿の滑稽さと、記録を更新した際の根源的な喜びが同居している点にある。バンダイが1986年に提示したこの「マットの上で走る」という体験は、商品名がPower Padと変わり、ロゴが任天堂へと入れ替わっても、その手触りそのものは変わることなく残り続けた。

    ゲームが座って遊ぶ静的な娯楽から、生活習慣や健康、家族の騒乱にまで干渉する動的な存在へと進化する道筋を、本作は1986年の時点で既に示していた。記録よりも「誰が一番汗をかいたか」を競い合った畳の上の記憶。その汗の匂いこそが、本作がファミコン史に刻んだもっとも生々しいトリビアである。

  • NAO総評

    走ってるだけで笑えるのは、実は世紀の発明だ。マットを敷いて足で操作するだけで、居間が急に運動会の会場へと変貌する。画面の奥行きと足の向きを揃えた立体視点は当時として極めて新鮮であり、短距離から三段跳びまで、競技ごとに踏み方を変えさせる設計は真面目なスポーツマンシップを要求する。開発のTRYが後のヒューマンへと繋がる流れも、周辺機器ソフトらしい技術への拘りを感じさせる。北米版が短期間で回収され、幻の超高額ソフトと化した逸話はあまりに有名だが、その本質は「汗と笑い」という人間臭い体験にある。八十年代の変な元気が凝縮された、文字通り「体当たり」の一本だ。

    出典:NAO
  • NATSU総評

    マットに乗った瞬間、ファミコンが急に体験型になるのが本当にうれしかったわ。走るだけの単純さなのに、リズムが乱れると画面の走りもガタガタになって、気づけば本気で息が上がっている。競争になると家族の応援が騒音レベルになるし、跳ぶ種目の一瞬の緊張感は独特なものだった。翌日の筋肉痛は、ちゃんと体を使った誇らしい証拠ね。日本では定番の顔なのに、北米版は希少価値で伝説になるなんて、同じ中身でも時代の波に揉まれるとこんなに運命が変わるのね。汗の記憶と、歴史の不思議。その両方が詰まった、冬休みの忘れられない一本よ。

    出典:NATSU

📘 説明書資料(ランニングスタジアム[FT-02])

説明書:gamingalexandria.com 所蔵版(ランニングスタジアム[FT-02])
※Running-stadium[FT-02](Famicom)(JP)
区分:説明書/Manual/Instruction Booklet
※当時の説明書はgamingalexandria.comによる保存資料です。権利は各社に帰属します。

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