グーニーズ

エピソード
1986年2月21日、コナミはファミリーコンピュータ向けに『グーニーズ』を発売した。価格は4900円。1985年に公開された同名映画を題材にしたアクションゲームであるが、ストーリーの再現よりも“冒険”そのものを軸に据えた構成になっている。映画を知らなくても楽しめるほど、独立したゲームデザインが施されていた。
プレイヤーは主人公マイキーを操作し、6つのステージを順に進む。各ステージでは3本の鍵を集め、さらに囚われた仲間のグーニーズを救出することが目的だ。鍵をすべて集めると次のステージに進めるが、仲間を全員助けなければ真のエンディングには到達できない。この条件が、単なるクリアでは終わらない“完全攻略”の動機を生んでいた。ステージを進むたび、危険と仕掛けが少しずつ複雑になり、プレイヤーは慎重さと瞬発力の両方を試される。
操作は単純で、十字キーで移動し、Aボタンでジャンプ、Bボタンでキック。爆弾を設置して扉や壁を壊し、隠されたアイテムを見つけるのが重要な要素となる。さらに、隠し部屋でスリングショットを入手すれば、遠距離から敵を倒すことができる。敵の攻撃を受けると体力が減少し、ダイヤモンドを8個集めると全回復する。炎を防ぐ「ファイヤースーツ」や音符攻撃を防ぐ「イヤーマフ」など、効果の異なる装備アイテムも存在し、攻略スタイルに幅を与えていた。
敵キャラクターは、ネズミやコウモリ、タコ、骸骨など、いずれも少しコミカルで不気味なデザインだ。白いネズミを倒すと十字架を落とし、一時的に無敵状態になるなど、緊張と救済のバランスが巧みに設計されている。中でも映画の悪党一家であるフラッテリー家は爆弾でも倒せず、一定時間気絶させるしかない。彼らは音符を撃って追いかけてくるため、狭い足場では特に厄介な存在だった。
ステージ構成は一本道ではなく、分岐通路や隠しルートを備えた半探索型。あるステージから別のステージへワープできる隠し経路も存在し、探索を重ねるごとにルートを最適化する楽しさが増していく。背景やBGMの変化も細やかで、洞窟や海底、海賊船など、冒険のスケールを感じさせる演出が多く盛り込まれていた。全ステージを突破すると、海賊船インフェルノ号が去っていく感動的なエンディングが待っており、当時のプレイヤーに強い印象を残した。
本作の象徴は、シンディ・ローパーによる映画主題歌「The Goonies ’R’ Good Enough」の8ビットアレンジである。タイトル画面やゲーム中のジングルとして流れるメロディは、明るくも切ない旋律で、プレイヤーの記憶に深く刻まれた。音楽の存在感は、グーニーズという世界を「映画の延長」ではなく「音で再構築された冒険」に昇華させている。
また、コナミ作品らしい遊び心として、ツインビーやコナミマン、ビックバイパーなど、同社キャラクターが得点アイテムとして登場する。こうした“社内クロスオーバー”演出は、ファンにとって小さな発見の喜びを与えた。ゲーム全体の難易度はやや高めで、鍵や仲間の位置がランダム要素を含むため、毎回プレイ感が変わる。タイマー制限も厳しく、焦りがミスを誘うという独特の緊張感を作り出していた。
『グーニーズ』は、映画原作の雰囲気を借りつつも、アクションゲームとして独立した完成度を持つ。映画を見ていなくても遊べるというNAOの短評は的を射ており、その理由はシンプルな操作、音楽、探索構造の三位一体にある。派手さはなくとも、プレイヤーの体験に寄り添う温かさを感じさせる一本だった。
NAO:総評
映画を知らずとも、このゲームの世界は自立していた。鍵を探し、仲間を助けるという単純な目的が、丁寧な仕掛け設計と演出によって見事に成立している。説明過多ではなく、試行錯誤で理解させる流れが気持ちいい。音楽も原曲の引用にとどまらず、ファミコンの音源で再構築され、独特の高揚感を作っている。攻略を重ねるうちに、いつの間にか映画よりもゲームの方を先に思い出すようになる。その自然な没入感が、この移植を特別なものにしている。
出典:NAONATSU:総評
鍵を取るたび鳴るあの音が、今でも耳に残っている。仲間を見つける瞬間の小さな達成感、爆弾を仕掛けた扉が開くときの手応え。すべてが、当時のテレビの向こうで自分の冒険のように感じられた。音楽が流れるだけで、マイキーと一緒に走っていた頃の気持ちが蘇る。映画の思い出よりも、ゲームの中の“自分が助けた仲間たち”の方が鮮明に浮かぶ。小さな画面の中で確かに息づいていた友情と冒険が、いまも記憶を温め続けている。
出典:NATSU📘 説明書資料(グーニーズ [RC809])
説明書:Internet Archive 所蔵版(グーニーズ [RC809])
※Goonies [RC809](Famicom)(JP)
区分:説明書/Manual/Instruction Booklet出典:※当時の説明書はInternetArchiveに保存された資料を参照 / 権利は各社に帰属します
















































発売日:1986/02/21|価格:4900|メーカー:コナミ|ジャンル:アクション
NAO: 映画を知らなくても遊べるのは偉い。
NATSU: キーアイテムの音楽が頭から離れない。