トップガンシリーズ
エピソード
トリビア
1987年12月11日にコナミから税抜5300円で発売されたトップガンは、シューティングの棚に並んでいても最初の手触りが少し違う。敵を撃つ前に、計器の見方と機体の癖を覚えないと何も始まらないからだ。照準とレーダーを頼りに敵影を追うのに、背後を取られる気配が出た瞬間に体が固まり、次の一撃であっさり落とされる。映画の熱気を期待して始めたのに、いきなり操縦の作法を叩き込まれる迷子感が来る。画面の端で燃料が減っていくのも地味に怖く、慣れないうちは戦闘より先に帰り道を考えてしまう。それでも不思議と投げ出しにくいのは、コックピット視点の没入感が強く、無線の短い言葉と機体音だけで緊張が立ち上がるからだ。映画を知らずに遊んでも雰囲気だけで燃えたという記憶が残りやすいのは、この作りの真面目さに助けられている。
ゲームはF14戦闘機のパイロット視点で進み、四つの任務で敵機との空戦や地上目標の破壊に挑む。二つ目では敵の空母が現れ、終盤は要塞と発射台のスペースシャトルが目標になる。任務を終えるたびに空母へ戻り、着艦を通して次の出撃へ進む流れなので、一つ片付けたはずなのに最後まで緊張が途切れない。機銃は無制限で、ミサイルは三種類から一つを選んで持ち込み、限られた弾数をやりくりする。画面には高度、速度、レーダー、燃料などが常に表示されるが、情報が多いほど心は落ち着かない。敵が背後に付くと即座に撃墜される設計なので、真正面で撃ち合う爽快さより、追われない姿勢を保つことが勝ち筋になる。少しだけ余裕が出てくると、敵を落とす数よりも、無傷で次の局面へ持ち込めたかが自分の成果に感じられてくる。
ここで本作の評判を決定付けたのが、任務の途中で一度だけ挟まる空中給油と、任務の終わりに必ず待っている空母への着艦だ。給油は一面では任意だが二面以降は必須で、給油機のホースに機体を合わせる操作を成功させないと燃料が尽きる。着艦は速度と高度を合わせて甲板の中央へ寄せるよう求められ、少しでもズレると海へ吸い込まれる。慣れてくると計器の数字が目に入るようになり、失敗の理由が少しずつ言葉にできる。失敗すると残機を失うが、任務そのものが消えるわけではないから、落ち着いて同じ手順を繰り返すしかない。ここがいわゆる着艦がラスボスと呼ばれる場所で、撃ち合いより手順が難しいと言われる理由でもある。しかも機体は三機分しかなく、全滅するとコンティニューなしで終わる。雑誌やレビューでも、着艦と給油が単調になりがちな戦闘の合間に緊張の種類を増やす要素として挙げられている。
裏側の事情を知ると、この構造はさらに腑に落ちる。本作は同名映画のゲーム化で、家庭用版は1987年に稼働したニンテンドーの対戦筐体向け作品を基にした移植と説明されている。家庭用でも空中給油と着艦を前面に残した結果、短い任務数でも体験が一枚岩になり、うまく行った時の達成感だけが妙に重く残る。スタッフ名義には遊び心のある表記が並び、作曲は貞清浩平とされる。MobyGamesのクレジット情報ではTop Gun Anthemの名も挙げられていて、映画の熱を短いフレーズで持ち帰ろうとしたことが読み取れる。実際に北米では発売後に売上上位へ入り大きな成功を収めた記録があり、難しいのに広く遊ばれたという事実が残っている。その後の関連作品としてThe Second Missionが挙げられている。トップガン名義のビデオゲームは他にも複数列挙されている。初見では理不尽に見える瞬間も多いのに、次は着艦を一本だけ通したくなる。冬の夜に何度も帰投を繰り返した感覚ごと、トップガンは記憶に刺さり続ける。
NAO総評
着艦がラスボスという評判は、皮肉ではなく仕様の説明として正しい。空戦は覚えれば形になるのに、着艦と給油だけは指先の微調整が毎回求められ、失敗の理由が自分の焦りに直結する。だから映画より緊張感ある操作体験という短評が一番似合う。派手な見せ場より計器と速度の管理を前に出し、格好良さを手順の苦味で支えるあたり、当時のライセンス作品の気合が透ける。売れてしまったのも、苦いのに忘れにくい作りだったからだと思う。
出典:NAONATSU総評
映画知らずに遊んでたけど雰囲気だけで燃えた、という短評は今もそのまま残ってる。敵を落とすより着艦で落ちる回数の方が多くて、何度も何度も帰投だけを繰り返すのに、計器の光り方と無線の短い言葉が妙に格好良くて手が止まらない。少しずつ速度と高度が揃って、甲板に乗れた瞬間だけは本当に帰って来られた気がして、冬の夜の思い出まで一緒に温まる。友だちに自慢できるのは撃墜数じゃなく、着艦を一発で決めた日だったよね。
出典:NATSU
📘 説明書資料(トップガン [KDS-TG])
説明書:Internet Archive 所蔵版(トップガン [KDS-TG])
※Top Gun [KDS-TG](Famicom)(JP)
区分:説明書/Manual/Instruction Booklet
※当時の説明書はInternetArchiveに保存された資料を参照。権利は各社に帰属します。













発売日:1987/12/11|価格:5300円|メーカー:コナミ|ジャンル:シューティング
NAO: 着艦がラスボス。映画より緊張感ある操作体験
NATSU: 映画知らずに遊んでたけど雰囲気だけで燃えた