ウィザードリィ

ウィザードリィ

ウィザードリィ

発売日:1987/12/22|価格:5800円|メーカー:アスキー|ジャンル:RPG

NAO: 落とし穴と全滅の恐怖に震えた初ダンジョンRPG
NATSU: 理不尽だけど、なんであんなに熱中してたんだろう

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ウィザードリィ

ウィザードリィシリーズ

エピソード

  • トリビア

    発売日が1987年12月22日で、アスキーから出たファミコン版のウィザードリィは、いま触ると最初に迷子になる種類のRPGだ。街を歩いて人に話しかけるような導線はほぼなく、町は店や寺院などの文字メニューで淡々と回し、目的はただ一つ、城の地下に広がる迷宮へ潜って生きて帰ることになる。物語も親切に押し出されないが、狂王トレボーの城の地下に十層の迷宮が生まれ、宿敵ワードナが奪った護符を取り戻すために冒険者が送り込まれるという骨格がある。ところが現場は、護符より先に自分の命と所持金が消える。毒や麻痺や石化のような状態異常に加えて、全滅すれば蘇生の費用すら工面できず、仲間が灰になれば復活にすら賭けが必要になる。NATSUの言うように、難しすぎて何も盗めず帰る記憶は正しい。最初の数回は宝箱よりも棺の数が増えるし、買える装備は安いのに、失う金は驚くほど重い。けれど、そこで投げずに続けた人だけが、迷宮の地図が自分の手で育つ手触りと、全滅の恐怖がもたらす濃い達成感に出会う。

    システムは最大六人のパーティを自作し、種族と性格と職業の組み合わせを考え、迷宮では一歩ずつ進む擬似三次元の探索と、ターン制の戦闘を繰り返す。戦士と僧侶と魔法使いと盗賊を土台に、条件を満たすと上級職へ進む成長もあり、編成の癖がそのまま事故の癖になる。例えば回復役が薄いと戦闘後に立て直せず、盗賊が弱いと罠の前で祈るしかない。さらに性格の違いが編成に影を落とし、善と悪が同じパーティに立てないという制約まで背負う。NAOの短評どおり優しさは皆無で、操作の一つ一つが手探りだ。ただ、その冷たさは意地悪というより、迷宮という場所の性格に寄り添った設計でもある。帰還して宿で休み、金で装備を更新し、育った仲間が一段深い階へ届く。この往復が中毒になる瞬間がある。

    ファミコン版ならではの救いもあって、移植にあたり末弥純の原画によるモンスターグラフィックと、羽田健太郎の作曲によるBGMが付いたことで、緊張の温度が変わった。画面の情報量が少ないぶん、音と絵が想像力の穴を埋め、怖さが増すのに不思議と続けられる。しかもバッテリーバックアップを備えたカートリッジで処理が軽快になり、迷宮通いのテンポが崩れにくい。後年には原作者ロバート ウッドヘッドがこの版を高く評価したという話も残り、単なる縮小移植ではなく、別の完成形として受け止められてきた。反面、持ち帰った成果が失敗一つで消えるのは変わらない。宝箱を開ける前に一呼吸置き、撤退の判断が早くなり、同じ通路を安全に往復できるようになったら、もう立派にこのゲームに飼われている。迷子だったはずの場所が、自分の中で地図になる感覚は、当時の手書きメモ文化と相性がいい。

    裏側を知ると、この無慈悲さにも別の顔が見える。元は1981年に海外で生まれたダンジョンRPGの草分けで、テーブルトークRPGの影響を強く受けつつ、コンピュータでパーティと迷宮探索を成立させた作品だった。初期の機種ではメモリ制約が厳しく、後の版で復活した安全策が当時は削られたことがあり、そこから生まれた有名な不具合も伝えられている。こうした危うさも含めて、手探りの時代の空気が濃い。日本では80年代半ばからアスキーが各種パソコンへ展開し、ファミコン版の実作業はゲームスタジオが担った。海外では日本のファミコン版を土台に、別会社からNES向けにも展開されるなど、同じ迷宮が国や機種で別の顔を持つ道をたどった。セーブと継続の文化も重要で、外部記憶装置のターボファイルがデータ移行を支えたことは、迷宮に通い続ける遊びと噛み合う。いま遊んでも、入口に立った時の迷子感と、迷子であること自体が学習になる感覚は古びない。最初は何も奪えず帰ってきたのに、いつの間にか一歩先の安全を計算しながら潜っている。その変化こそが、ウィザードリィが今も語られる理由だと思う。

  • NAO総評

    落とし穴と全滅の恐怖に震えた初ダンジョンRPG、という記憶は誇張ではない。優しさを捨てた設計が、当時の遊びの覚悟と紙の地図文化を露骨に要求する。戦闘よりも撤退判断が難しく、資金繰りと蘇生の算段まで含めて攻略になるのが皮肉だ。遊びの時間を奪うのではなく、慎重さという人格を鍛える装置になっている。画面は簡素でも、計算と儀式が積み上がるほど世界観の重さが立ち上がり、硬派という言葉を現実にする。理不尽さが消えないからこそ、上達が嘘にならない。

    出典:NAO
  • NATSU総評

    理不尽なのに、なんであんなに熱中してたんだろうと今も思う。何も盗めず宿へ逃げ帰る夜が続いても、次の一歩のために装備を買い、仲間の名前を呼んで祈ってしまう。全滅の怖さがあるから、帰還できた瞬間だけ胸が熱くなるのよね。音楽と絵に背中を押されて迷宮へ戻り、また泣きながら地図を直す、その繰り返しが不思議と優しい。思い出すのは勝利より、失敗の途中で支え合った感覚だと思う。だから今でも、扉の音だけで少し緊張する。

    出典:NATSU

📘 説明書資料(ウィザードリィ [HSP-09])

説明書:Internet Archive 所蔵版(ウィザードリィ [HSP-09])
※Wizardry[HSP-09](Famicom)(JP)
区分:説明書/Manual/Instruction Booklet
※当時の説明書はInternetArchiveに保存された資料を参照。権利は各社に帰属します。

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