エピソード
トリビア
1985年7月26日に発売された『ブロックセット』は、ファミリーコンピュータ用周辺機器「ファミリーコンピュータ ロボット(HVC-012)」と連動する専用ソフトであり、任天堂の“家庭用ロボット時代”を象徴する作品だ。開発者は横井軍平。彼が提案した「ゲームをテレビの外へ拡張する」構想を、最も直接的に形にしたタイトルである。
このロボットは、ブラウン管テレビから発せられる点滅光信号を“目”で受け取って動作するという仕組みで、指示内容は映像に重ねた白黒の明滅パターンで送信される。プレイヤーはゲーム画面上で「ヘクター博士」を操作し、UP・DOWN・LEFT・RIGHT・OPEN・CLOSEといった音声命令を経て、実際のロボットにブロックを積み替えさせる。ゲーム中のアニメーションと、机の上のロボットの動作が同期するというこの体験は、1980年代半ばにしてAR的とも言える実験だった。
セットには5色のブロックとトレイ、専用カセット『ブロック(ROBOT BLOCK)』が同梱。ロボットが崩さずに指定通り配置できればクリアとなるが、結果を判定するのはゲームではなくプレイヤー自身というアナログな部分も残っていた。その曖昧さすら、当時の“テレビと人の共演”を感じさせる。
欧米では『STACK-UP』としてNESと同時期に発売され、同じく対応作『ジャイロセット(GYROMITE)』とともにR.O.B.(Robotic Operating Buddy)の名で知られた。1980年代後半には販売終了となるが、後年『マリオカートDS』『スマブラX』『メイドインワリオ』などに「HVC-012」として再登場し、失われたロボット玩具の象徴としてリバイバルを果たしている。
ブロックセットが特異なのは、玩具とソフトの“主従関係”を逆転させたことだ。画面よりもロボットの動きが主役であり、ファミコン本体はあくまで「命令を送る装置」だった。のちのamiiboやNintendo Laboにまで続く“インタラクティブな遊び”の原点は、ここにあったと言っていい。横井軍平が掲げた「遊びの原点は“驚き”にある」という哲学が、最もストレートな形で結晶した一作だった。
NAO:総評
ファミコンにロボットを繋げる——その発想だけで、もう時代を一歩飛び越えてた。『ブロックセット』はゲームでも家電でもなく、「未来の玩具」そのものだったんだ。テレビの光で動くって? 小学生はみんな、半信半疑で部屋の明かりを消したはず。しかも結果判定は自分の目っていうアナログ仕様。
それでも「動いた!」瞬間の感動がすべてを越えてた。もしかしたら任天堂は、最初から“画面の外”で遊ぶ時代を見ていたのかもしれないな。ロボットのゆっくりした腕の動きに、ファミコンの未来が重なって見えるぜ。出典:NAONATSU:総評
子どものころ、テレビの前でロボットが動くのを見たときのあの衝撃、今でも覚えてる。手元のボタンじゃなく、光で命令してブロックを積み替えるなんて、まるで魔法みたいだった。ロボットがちょっとずつ動くだけなのに、みんな息を止めて見守ってたのよね。“ゲームの外にも遊びがある”っていう任天堂の考え方が、ちゃんとここに詰まってた。スピードも派手さもないけど、このゆっくりした時間の中に、未来が確かに息づいてたわ。
出典:NATSU📘 説明書資料(ブロックセット [HVC-BL])
説明書:任天堂公式(ブロックセット [HVC-BL])
※Block set [HVC-BL](Famicom)(JP)
区分:説明書/Manual/Instruction_Booklet出典:※任天堂公式によるウェブページです / 権利は各社に帰属します

















































発売日:1985年7月26日|価格:4800円|メーカー:任天堂
NAO: ロボット操作でブロックを並べる、未来の玩具って感じ。
NATSU: 点滅光で動くとか、今でも信じられない技術。