エピソード
トリビア
1985年9月、ジャレコが放った『シティコネクション』は、可憐な少女クラリスが白いホンダ・シティ風の車に乗り、世界各地の道路を“ペイント”しながら走り抜けるという、当時としては異彩を放つ固定スクロール型のカーアクションだった。目的は単純、全ての道路をタイヤ跡で塗りつぶすこと。だがその道中には、しつこく追ってくるパトカー、邪魔な竹の子障害物、そして最も謎なのが「猫」である。接触するとクラッシュ扱いになり、クラリスの車が大破する。実害はなさそうなのにゲームオーバーになるこの仕様は、後年までファンの間で“猫最強説”として語り草になった。
本作の開発はアーケード版を経てファミコンに移植されたもので、背景にはニューヨーク・ロンドン・エジプトなど世界各地の観光名所が描かれ、BGMにはチャイコフスキーの「くるみ割り人形 行進曲」をアレンジした軽快な旋律が流れる。クラリスがジャンプするたび、まるでダンスを踊るようなリズムが生まれ、無機質なカーアクションに“かわいらしさ”を持ち込んだ数少ない例として評価が高い。
ファミコン版では隠し演出や裏技も多く、インド面では夕焼け、フランス面ではハレー彗星が背景に現れるなど、得点には関係しない遊び心が散りばめられていた。また「全ての道路を塗り切ると次の都市へ行く」というステージ構成は、1980年代中期の“周回型”デザインの典型であり、同時代の『ロードファイター』などと並んで、スピードとパズル性を融合した作品として知られる。
本作の主人公クラリスは女性ドライバーという設定が珍しく、当時の少年プレイヤーにとっては新鮮な存在だった。ジャレコが女性キャラクターを前面に出したのは極めて異例で、彼女は後に続く“ジャレコ・ヒロイン”の原型となった存在でもある。ゲーム中に描かれる軽やかな笑顔と、追跡を華麗にかわす姿は、80年代アーケードの自由さを象徴するものだった。
一方、アメリカでは『City Connection』としてデータイーストUSAが販売。輸出版では一部のグラフィックや演出が調整され、国際色豊かな「ワールドツアー」としての側面がより強調された。奇抜でポップな見た目に反し、操作感はかなり難しく、特にジャンプ中の慣性と着地のズレは多くのプレイヤーを苦しめた。タイミングを誤ると、せっかく塗った道路を台無しにしてしまう——この不安定さこそが、“簡単そうで難しい”名作と評されるゆえんでもある。
なお、現代においても『シティコネクション』は複数の復刻が行われており、アーケードアーカイブス版ではBGMやドット演出の再現度が高く、当時の「くるみ割り人形」アレンジを聴くだけでも価値がある。クルマが飛び跳ね、猫が猛威を振るう不条理な世界——だがそこには、80年代の“ゲームは自由でいい”という気風が確かに息づいている。
NAO:総評
クルマで塗り絵して、ネコにぶつかったら即死とか、発想がぶっ飛びすぎだぜ。パトカーよりネコが強い世界観、もう哲学だよな。けどBGMは無駄に気持ちいいし、操作の癖がある分、うまく繋がった時の快感は格別。クラリスが飛ぶたびに、現実から少し離れられる気がする。あの時代のジャレコは、本気で“遊びとは何か”を試してたんだと思うぜ。
出典:NAONATSU:総評
あの頃、車が跳ねるだけで笑ってた。ネコに当たって「うそでしょ!?」って叫んで、友達と大騒ぎしてたなぁ。音楽も明るくて、世界を旅してる気分になれた。塗りつぶした道路を見てると、自分の足跡を残してるみたいでちょっと誇らしかったの。単純だけど心が弾む――そんなゲーム、今じゃなかなか出会えないわね。
出典:NATSU📘 説明書資料(シティコネクション [JF-05])
説明書:Internet Archive(シティコネクション [JF-05])
※City Connection [JF-05](Famicom)(JP)
区分:説明書/Manual/Instruction_Booklet出典:当時の説明書は / Internet / Archive / に保存された資料を参照 / 著作権は各社に帰属します

















































発売日:1985年9月27日|価格:4900円|メーカー:ジャレコ
NAO: 猫に当たると即死。ジャンプタイミング狂うと人生終了。
NATSU: タイヤ跡残しゲー。掃除したくなる衝動。