エピソード
トリビア
1986年9月22日に徳間書店から発売されたファミコン版ゴーストバスターズは、海外のパソコン向け作品を土台にしつつ、映画の名前と主題歌の知名度を背負って登場した。元になった作品は映画の勢いが強いうちに出す条件で短期間制作が求められたとされ、その急ごしらえの気配が移植版にも影を落とす。ところが、語り口は映画の物語を追うというより、街で依頼をさばきながら資金と装備を整えていく業務日誌のようで、そこがまず人を選ぶ。マップ上で動かす自機は隊員ではなく映画ロゴのマークで、街を巡回して点滅するビルを探す。開始直後は資金が与えられているが、店に行くまでの運転だけでじわじわ減っていき、何もできないまま貧乏になる感覚が早々に味わえる。いっぽうで主題歌の旋律は執拗に鳴り続け、タイトルの勢いと音だけは妙に華やかだ。原作ファンが困惑しつつも、曲には拍手したくなるという短評の温度は、まさにこのちぐはぐさから生まれる。
ゲームを始めると全体マップが表示され、四隅から発生したゴーストがリアルタイムで中央のズールへ集まり、集まるほど最後が強くなる。集結の度合いはPKエナジーの表示で見えるので、稼ぎたい気持ちと急ぎたい気持ちが同時にせかされる。最初は装備がないためショップへ向かい、ビームやトラップを買わないと退治の現場に入れず追い返される。目的地を決めるたびにドライビングの画面へ切り替わり、時間経過で燃料が減り、走行中の衝突などで資金を引かれる。補給地点で燃料を補給できたり、専用の吸引機を買っていれば道中のゴーストを回収して小銭を稼げたりもするが、基本は黙々と走って財布を守る時間が長い。点滅したビルへたどり着くと捕獲の場面になり、ビームで幽霊を押さえ、罠で閉じ込め、捕まえたら本部に持ち帰って罠を再利用する。三人編成で動く場面もあり、ビーム同士が触れるとアウトになるという映画の約束事が形だけは残っている。さらに日本版には、離れた場所の発生ビルを知らせるアラームのように、作業を軽くする品も用意されている。買い物と移動が長いのでテンポはゆるいが、次はもう少し効率よく回せるはずだと考えてしまい、気づけばもう一回だけと手が伸びる。
終盤はズールの中へ入り、階段を駆け上がる局面が待っている。ここでは護身用のスーツや敵を散らす道具が物を言い、連打と作業感が前面に出て映画らしい軽妙さはさらに薄くなる。日本版にはアラームの売値が買値より高いという有名な資金稼ぎがあり、装備を整えて一気にズールへ向かうための現実的な抜け道にもなった。そもそも本作のバスターズは四人ではなく三人が前提のようで、説明書には落ちこぼれ三人組が不思議な商売を始めたといった文面もあり、キャラクターの顔ぶれは映画と噛み合わない。幽霊の種類も多彩とは言えず、愛嬌のある見た目が逆に拍子抜けを誘う。発売当時から評価は厳しく、ゲームになっていないとまで言い切られたという記録も残る。制作面でも荒さが目立ち、開発名として表記されるワークスがビッツラボラトリーの初期社名とされること、スタッフロールが正しく表示されない不具合が後年の解析で指摘されたこと、エンディングに残る短い文字が妙に有名になったことなど、完成品の綻びまで含めて語り継がれてきた。
それでも主題歌の強さは否定しがたく、原作の迫力を詰め込む執念は見え隠れするのに、遊びの手触りはひどく事務的で、しかし音と変な味が忘れさせない。好きか嫌いかは分かれても、子どもの頃にこの主題歌と減る財布の感触を一度体験すると、妙に忘れられない。ファミコン初期の版権ゲームが抱えた急ごしらえと執念、その両方が詰まった一本だ。今読むと脱力するのに、当時の記憶だけは色濃い。あの頃の映画の熱と家庭用ゲームの試行錯誤が、同じ箱に押し込められている。
NAO総評
原作の迫力をファミコンに詰め込もうとした執念は見える。地図で仕事を選び、資金を回し、装備を揃えて最終決戦へ向かう構造は、当時としては珍しいほど運営寄りで、映画の一発芸を家庭用へ落とし込む試みでもあった。ただ、移動の長さと金の減り方が容赦なく、盛り上がる前に作業感が勝ちやすい。なのに主題歌が延々と鳴るせいで、気分だけは妙に高揚し、失敗しても次は段取りで勝てるはずだと錯覚させる。拍手と苦笑が同居する、八六年の版権ゲームらしさが凝縮された一本だ。後年に不具合やスタッフ表示の話まで掘り起こされるあたり、完成度より記憶の引っかかりで生き残ったタイプだ。
出典:NAONATSU総評
テンポはゆるい。走ってる時間が長くて眠くなるし、買い物に間に合わず追い返されると気持ちがしぼむ。でも少しずつ装備が揃い、点滅するビルを追えるようになると、今日の稼ぎが形になる感じがうれしくて、つい続けてしまう。主題歌が元気に鳴り続けるから、うまくいかない場面でもどこか明るくて、口ずさみながら地図をぐるぐる回ってしまう。荒さや変な癖まで含めて、子どもの頃の夜更かしと一緒に思い出すゲームだ。最後の階段の連打や、変な終わり方まで体験すると、もう二度とやらないと思いながらも、なぜか忘れられない。それがこの一本の味だ。
出典:NATSU
📘 説明書資料(ゴーストバスターズ [GTS-GB])
説明書:Internet Archive(ゴーストバスターズ [GTS-GB])
※Ghostbusters [GTS-GB](Famicom)(JP)
区分:説明書/Manual/Instruction_Booklet
※当時の説明書はInternetArchiveに保存された資料を参照 / 権利は各社に帰属します












発売日:1986/09/22|価格:4500円|メーカー:徳間書店|ジャンル:アクション
NAO: 原作ファンも困惑するが、曲だけは最高。
NATSU: テンポ感がゆるすぎて眠くなる、でもクセになる。