カラオケスタジオVOL.1 トップヒット20

カラオケスタジオシリーズ
エピソード
トリビア
1987年10月28日にバンダイから3980円で出たカラオケスタジオVOL.1 トップヒット20は、単体で遊ぶソフトというより、家の空気ごと巻き込む追加カセットだ。まずここで迷子になる。ファミコンに挿しても始まらない。必要なのは先に出ているカラオケスタジオ本体とマイクで、この追加カセットは本体側の差し込み口へ装着して使う仕組みだから、手順を知らないと無反応に見える。ようやく起動しても、ゲームが特別に変身するわけではなく、基本の遊び方はそのままに曲が増える。その地味さが逆にリアルで、家庭用でカラオケという発想の攻め具合は、画面より先に生活のほうへ刺さる。テレビの前でマイクを握った時点で、もうゲームの勝負は始まっている。
このVOL.1がやることは明快で、カラオケスタジオ本体に入っている曲へ追加で二十曲を足し、合計三十五曲として遊べるようにする。曲の追加が主役で、モード自体は変わらないとされる。つまり、歌詞が画面に出て曲の雰囲気に合わせた絵が流れ、歌の正確さで点数が出るという骨格はそのまま続く。変わらないからこそ、家庭での体験の差が浮き彫りになる。上手い下手よりも、声を出せるかどうかがいちばんの難所で、テンポよく始めたいのに家族の視線で音量を落とした瞬間、採点以前に気持ちが折れる。逆に言えば、そこを乗り越えられた家では、歌う行為そのものが遊びになって、ゲームが生活の行事に変わる。
追加カセット側にも小さな工夫があると言われていて、イントロ当ての難易度が上がったり、より上位のイントロ系モードが用意されたと紹介されている。けれど、いちばん強いトリビアはやはり媒体の形だ。大きな専用カートリッジにさらに小さな追加カセットを挿すという発想は、当時の容量や商品展開の事情をそのまま見せてくる。しかもこのVOL.1はトップヒット二十という題で、曲そのものを買い足す形式になっている。後年の配信曲追加を先取りしたようでいて、実態は物理的な増設だ。手間も場所も取るのに、歌える曲が増えるだけで嬉しい。その単純さが八十年代らしい。
裏側を答え合わせすると、英語版の解説でもカラオケスタジオが拡張サブシステムとして設計され、追加カートリッジで内容を足す方針だったことが書かれている。だからVOL.1は、続編ではなく追加曲パックという立ち位置が一番正しい。シリーズとしてはこの後にVOL.2が出て、曲を買い足す文化が続く。家庭用でカラオケという攻めた夢を、まずは曲の追加という現実的な方法で支えた。その結果、マイクに叫んで親に怒られるという、ゲームの外側の伝説まで込みで残った。画面の中の得点より、家の中の空気のほうが強く記憶に残る。そういう意味で、これは音楽ゲームであり、家庭用イベント装置でもあった。
NAO総評
家庭用でカラオケとは攻めすぎた発想だった、という短評がまさに核心で、これはゲームの難しさより家の事情が先に立つ。追加カセットのVOL.1は曲を増やすだけで遊び方は変わらないのに、それが逆に商品として強い。曲が増えるだけで家族の前に立つ回数が増えるから、勇気が試される。技術より空気の読み合いが勝負で、ファミコンでそこまでやるのが当時のバンダイらしい。
出典:NAONATSU総評
マイクに叫んで親に怒られたのも今やいい思い出、っていうのが一番このシリーズの真実だと思う。歌が上手いかどうかより、声を出せたかどうかで記憶が決まる。VOL.1は曲が増えるだけなのに、曲が増えるほど家の中で遊ぶ理由が増えて、恥ずかしさと楽しさが混ざっていく。あの時の音量の調整や、こっそり歌う感じまで含めて、確かに家庭のゲームだった。
出典:NATSU
📘 説明書資料(カラオケスタジオVOL.1)
説明書:げーむのせつめいしょ(カラオケスタジオVOL.1)
※Karaoke-studio VOL.1(Famicom)(JP)
区分:説明書/Manual/Instruction_Booklet
※げーむのせつめいしょ様による保存資料です。 / 権利は各社に帰属します。













発売日:1987/10/28|価格:3980円|メーカー:バンダイ|ジャンル:その他
NAO: 家庭用でカラオケとは攻めすぎた発想だった
NATSU: マイクに叫んで親に怒られたのも今やいい思い出