カラオケスタジオVOL.2 トップヒット20

カラオケスタジオシリーズ
エピソード
トリビア
1988年2月18日にバンダイから発売されたカラオケスタジオ専用カセットVol 2 トップヒット20は、単体で遊ぶゲームというより、すでにカラオケスタジオ本体を持っている家の居間を少しだけ広げるための追加カセットだ。本体だけをファミコンに差しても動かず、まず前提機材を思い出すところで迷子になりやすいのは、このソフトがカラオケスタジオ本体とマイクが前提だからだ。取扱説明書でも、接続の前に本体をファミコンから取り外し、拡張カセットを差してから改めて本体を接続する流れが説明されている。遊び方は本体と同じで、Vol 2は曲だけを増やす役割に徹している。歌詞カードも同梱されず、歌詞はすべてテレビ画面に出るという割り切りも、当時の家庭用としては強い自信と現実の折り合いが同居している。ご近所の迷惑にならないよう音量を控える注意書きまで入っていて、家族の遊び道具でありつつ、居間の外へ音が漏れることまで想定していた。
仕組みの面白さは、曲の追加がただのデータではなく、物理的な拡張として設計されている点にある。カラオケスタジオ本体はファミコン本体のカセット差し込み口に入る大型カートリッジで、マイクが直結され、背面のスロットに小型の拡張カセットを差して遊ぶ。Vol 2を接続すると本体の15曲に20曲が加わり合計35曲になり、選曲画面も2ページになると取扱説明書に書かれている。選曲は1ページ目の最後からカーソルを進めると2ページ目へ移り、最後まで行くとまた1ページ目へ戻るという、紙のカタログをめくるような動きだ。収録曲は北酒場や三年目の浮気のような歌謡曲から、汽車ポッポやしゃぼん玉のような童謡まで混ざっていて、家族の誰かが歌える曲を必ず残す編成になっている。さらに熱き心にだけはテンポ変更ができないという注記もあり、1曲ごとに家庭向けの調整が入っていたことが見える。カラオケスタジオ側のモードはレッスン、のどじまん、スター誕生、イントロ当てゲームといった構成で、Vol 2を差しても遊びの骨格は変わらない。イントロ当てゲームは最大3人で遊べるとされていて、歌わなくても盛り上がる逃げ道が残されている。一方で取扱説明書には実際の曲とアレンジが一部異なる場合があるとあり、ここで聴こえる伴奏は原曲のままではない。だから歌ってみると妙にずれる感触が出ても不思議ではなく、その違和感を抱えたまま練習に戻る循環が起きる。
裏側に目を向けると、1987年7月に本体が出て、同年10月と1988年2月に拡張が追加されるという短い間隔で展開されたこと自体がトリビアになる。百科やデータベースでは、声を検出するマイク付きの拡張サブシステムであること、曲がファミコンの合成音源に変換されていること、歌の正確さで採点されることが説明されている。曲が流れるあいだは歌詞が画面に表示され、曲の雰囲気に合わせた絵も添えられるとされ、ただの歌詞表示機では終わらせない意地が見える。つまりVol 2の正体は、家庭のテレビをそのままカラオケ機材に寄せるための実験であり、その実験を続けるための燃料として20曲を足したパックだ。取扱説明書には専用カセット第3弾も発売予定と書かれている一方で、結果としてVol 2までで止まったことが資料からうかがえる。完成形より途中経過の生々しさが残るからこそ、採点や同期の完璧さよりも、家で歌うという行為そのものが主役だった時代の空気が濃く残り、うまく歌えなくても少しズレても、画面の歌詞を追いかけて声を出した夜が思い出として残る。ゲームが上手くなる喜びとは別の救いを、最初から用意していたように感じさせるところが、この追加カセットのいちばんの強さだ。
NAO総評
追加カセットで曲を増やす発想は未来っぽいのに、1987年7月の本体から1988年2月のVol 2で止まる。その潔さが逆に語りたい逸品になっている。原曲をそのまま鳴らせない制約を抱えたまま、歌詞表示や採点まで乗せる力技は、当時の家庭用の背伸びそのものだ。第3弾予告まで見せて消えるあたり、企画の熱と市場の冷え方が同じ画面に映る。ファミコンにさらに差し込み口を足す構造も、周辺機器史の小さな事件だと思える。
出典:NAONATSU総評
採点なしで音ズレも多い、そう感じるのに手が止まらないのが不思議だった。画面に出る歌詞を追いかけて、少し遅れて聞こえる伴奏に合わせようとするだけで、いつの間にか練習になっている。マイクのコードを踏まないように立ち位置を探して、声の大きさを控えめにして、でも熱が上がるとつい歌ってしまう。上手く歌えない夜ほど、次はもう少しだけ合うはずと信じてしまって、気づけばまた選曲画面をめくっていた。あの頃の居間の空気まで一緒に思い出す。
出典:NATSU
📘 説明書資料(カラオケスタジオVOL.2)
説明書:げーむのせつめいしょ(カラオケスタジオVOL.2)
※Karaoke-studio VOL.2(Famicom)(JP)
区分:説明書/Manual/Instruction_Booklet
※げーむのせつめいしょ様による保存資料です。 / 権利は各社に帰属します。













発売日:1988/02/18|価格:3980円|メーカー:バンダイ|ジャンル:その他
NAO: 実質1年で打ち切り。潔すぎて逆に語りたい逸品
NATSU: 採点なし、音ズレ多し。でもなぜか夢中だった