つるピカハゲ丸 めざせ!つるセコの証

エピソード
トリビア
ファミコン後期に登場した『つるピカハゲ丸 めざせ!つるセコの証』は、ギャグ漫画原作らしいユーモアを盛り込みつつも、独自の仕様や妙な裏話を多数抱えた作品である。以下では、その中でも印象的な小ネタを列挙してみたい。
まず冒頭のデモ演出が特徴的だ。電源投入後、ジャレコのロゴが宇宙や地球を背景に変化し、ハゲ丸がスーパーマンやロボコップ風に登場するカットインが流れる。わずか数秒ながら「本当にギャグ作品なのか?」とプレイヤーを戸惑わせるほど凝った作りになっている。
ゲーム本編は、ただの横スクロールアクションに留まらず、マップ移動やイベント要素を盛り込んでいる。日本からアメリカ、さらには南極へと舞台が移るが、地理的な整合性は二の次。旅行代理店で「ハワイに泳いで行ける」など、理不尽ギャグでプレイヤーを煙に巻く。アクションステージに入ると、ジャンプ後にBボタンを押すことで「頭突き攻撃」が可能。さらに「上+Bで溜めてコイン投げ」という独特の必殺技もあり、所持金がそのまま武器になるという設定が原作の“セコさ”をうまく再現していた。
所持金システムにも小ネタがある。最大金額は16ビット整数の上限である65,535円。中途半端に見えるが、プログラム上の都合がそのまま仕様として現れてしまった典型例だ。また、ゲームオーバーになった場合でもコンティニュー可能だが、その代償として所持金の半額を没収されるというペナルティが課せられる。「命より金が大事」というハゲ丸らしい皮肉な設計である。
随所に挟まれる会話シーンでは、母親キャラが「お駄賃」と称して10円を要求してくるイベントもある。わずか10円でもケチるか否かで進行が変わるのは、まさに原作のギャグセンスを反映したものだろう。
さらに異色なのが、ラスボス「トライベーダー戦」の扱いである。この戦闘は勝利不能に設定されており、一定時間経過で必ず敗北。そこからイベントシーンに移行してエンディングへ進むという、ファミコンとしては珍しい強制展開仕様になっている。
そして最大の小ネタはエンディングの最後に現れるテロップだ。本作は、アニメ版『つるピカハゲ丸』で主人公ハゲ丸の声を務めた声優・つかせのりこへの追悼メッセージが流れる。
「たいへん みじゅくではありますが、
このさくひんを 故つかせ のりこさんに
ささげさせて いただきます。
ごめいふくを おいのりいたします……」ファミコンソフトにおいて、声優個人への追悼を明示するエンディングは極めて珍しい。ゲームの完成度は決して高評価ではなかったが、このエピソードだけでも語り草となり、今なお本作が「異色のファミコン作品」として記憶されている理由の一つとなっている。
こうした小ネタの積み重ねは、本作が単なるキャラゲーに留まらず、当時の空気や作り手の想いを映す貴重な一本であることを物語っている。
出典:Wikipedia(jp) / w.atwiki.jpNAO:総評
ファミコン末期のジャレコ作品らしく、完成度よりも強烈なインパクトで記憶に残る一本だ。開始早々、過去の自社作品『燃えプロ』が10円で売られているという自虐的ネタを突きつけてくるあたり、当時の空気感を逆手に取った笑いが光る。ゲーム自体はバランスが悪く、敵配置や当たり判定も理不尽そのものだが、それを「まあそういう作品だから」と受け止めさせる不思議な魅力がある。さらにラスボスが勝利不能で必ずイベントへ移行するという構造まで含めて、「真面目に攻略しても裏切られる」理不尽さが、この作品のユーモアを際立たせている。名作ではないが、ネタ作として忘れ難い存在だ。
出典:NAONATSU:総評
当時の少年たちにとっては、難易度の高さに苦しみながらも、妙にクセになる遊び心が詰まった作品だった。頭突きやコイン投げといったアクションは、ギャグ漫画原作らしい荒唐無稽さで、遊ぶたびに「セコさ」を笑いに変えてくれる。マップ上での会話やイベントも含め、原作を知らなくてもツッコミどころ満載で盛り上がれた。地理的にでたらめな舞台展開も、友達と一緒に笑い飛ばす要素になっていたのを覚えている。そして忘れられないのが、エンディングの追悼メッセージ。ハゲ丸を演じた声優・つかせのりこさんに捧げられた言葉は、作品のドタバタを一瞬で静め、温かい余韻を残した。笑いと哀愁が共存する、独特の一本だ。
出典:NATSU
発売日:1991/12/13|価格:6300円|メーカー:ジャレコ|ジャンル:アクション
NAO: もえプロが10円で売られてる時点で、すでに自虐ギャグの極みだな。
NATSU: セコさ満載の演出と挑戦的な難度、笑いと苦労を両方楽しめた記憶。