アルカノイドシリーズ
エピソード
トリビア
ファミコンでアルカノイドIIを起動すると、最初の数分で迷子になる。見た目はブロック崩しなのに、手元の十字キーだと微妙に遅れて、球が落ちるたびに自分の反射神経だけが悪い気がしてくる。ところが本作は専用のパドル型コントローラを前提にした作りで、ダイヤルで滑らかに位置を合わせると、画面の忙しさが少しだけ読みやすい形に変わる。ゆっくり回せば細かく合わせられて、勢いよく回すと大きく滑る。その単純な手触りだけで、今日は勝てる気がする日と、今日は無理だと分かる日が分かれてしまうのが怖い。テレビの前で家族の気配を背にしながら、ただ球を見続ける時間が続く。派手な必殺技も会話もないのに、失敗した瞬間だけは現実に引き戻されて、またダイヤルを握り直す。勝てない理由が腕前だけではなく、入力の解像度にあると分かった瞬間が救いで、そこからは球の角度と自分の位置を噛み合わせる修行が始まる。1988年3月8日にタイトーから発売され、価格は5900円。前作アルカノイドの続編として、敵DOHとの戦いをSFの枠に押し込めたまま、ひたすら手首と集中力を試してくる。やめ時が難しい。明日もやるよ。
遊びの核はやはり反射と暗記で、球が跳ね返る角度と、ブロック配置の癖を身体に入れていくほど楽になる。最初は偶然に見える跳ね返りが、慣れると少しだけ意図に寄ってきて、そこで初めてブロック崩しが勝負事になる。落下するアイテムで展開が変わり、欲張ると崩れ、我慢すると苦しくなるのが面白い。盤面は冷たいのに、手元は汗をかく。数秒の間に判断が詰め込まれていて、上手い人ほど無駄な動きが減るのが見て分かる。同じ面で詰まっても、次の一回だけはうまく行く気がしてしまい、失敗の記憶がそのまま手順書になる。ファミコン版には対戦モードがあり、1人用の攻略とは違う駆け引きが生まれて、同じブロック崩しでも空気が変わる。勝った方が偉いというより、負けた方が悔しいという種類のゲームで、家の中の雰囲気まで左右してしまう。さらにエディットモードも搭載され、自作の面を作り、データレコーダで保存できる。作って遊ぶ入口を用意したのは当時としては珍しく、机の上のゲームが小さな遊び場に変わる。保存には周辺機器が必要で、夢の広さと現実の距離まで含めて、家庭用らしい味がある。家で遊ぶはずが、気づけばフォームを整えて呼吸まで合わせてしまう。反射が鈍るとすぐ落ちるから、集中が続く短い時間だけが勝負になる。だから1面を抜けただけで、妙な達成感が残る。
裏側の事情が面白いのは、家庭用の開発がダイエー制作とされている点だ。専用コントローラはこの作品のためだけで終わらず、同じタイトーのチェイスHQでも使えるように作られていた。遊ぶ人にとってはただの入力機器なのに、作る側にとっては作品の枠を超えて使い回せる道具で、周辺機器がひとつの資産になっていた。さらに当時は面の公募企画が告知され、優秀作を収録した特別カセットとしてウラナイドIIという名前まで示されたが、実物の存在は確認できないという形で、企画だけが時代の熱として残っている。そうした企画が告知されていたこと自体が、作って遊ぶ発想の強さを示している。シリーズは後年も続き、2007年のニンテンドーDS版の発売記念イベントに大山のぶ代がゲストとして招かれたことからも、腕前と語り口の両方でこの遊びが愛されてきたのが分かる。だからこそ、CMで夢を見た子供が現実の地獄に放り込まれても、毎晩また起動してしまう。うまくいった瞬間の静かな手応えが、1980年代の家庭にあった遊びの強さを思い出させてくれる。
NAO総評
専用パドルでやっと公平になるのに、そこから先は手首と記憶の地獄で、負けるたびに自分の雑さだけが浮き彫りになるのがアルカノイドIIの怖さだ、対戦やエディットまで詰め込んで家庭用の夢も見せるのに、保存にはデータレコーダが要るあたりがまた現実的で、専用コントローラがチェイスHQにも回されるように道具を使い回す発想まで透けて見えるし、ウラナイドIIの告知だけが残る未確認企画も含めて、当時の熱と無茶を一枚で味わわせてくれる、DS版の記念イベントに大山のぶ代が招かれたと知ると、俺の紙腕も少しだけ笑い話になる。
出典:NAONATSU総評
母とCMを見て期待したあの日の気持ちは、実際に遊ぶとすぐ折れそうになるのに、パドルを回して球が狙い通りに返った瞬間だけ全部が報われて、対戦で兄と笑ったり自分で面を作って眺めたりしながら少しずつ上達していくのが嬉しい、エディット保存にデータレコーダが要ると知ってもそれでも作りたくなるほど画面に夢があって、失敗しても次の一球で取り返せると信じさせてくれる、ウラナイドIIの告知やDS版の記念イベントに大山のぶ代が招かれた話まで含めて、アルカノイドは遊びだけじゃなく当時の空気までずっと一緒に残してくれる。
出典:NATSU
📘 説明書資料(アルカノイドII リベンジ オブ ドウ [TFC-ANII-5900])
説明書:Internet Archive 所蔵版(アルカノイドII リベンジ オブ ドウ [TFC-ANII-5900])
※Arkanoid II [TFC-ANII-5900](Famicom)(JP)
区分:説明書/Manual/Instruction Booklet
※当時の説明書はInternetArchiveに保存された資料を参照。権利は各社に帰属します。














発売日:1988/03/08|価格:5900円|メーカー:タイトー|ジャンル:アクション
NAO: のぶ代のナレーションは神、でも俺の腕は紙だった
NATSU: 母と一緒に見たCM、でも現実は兄すら詰むブロック地獄