エピソード
トリビア
1985年2月11日、ジャレコがファミコン向けに『エクセリオン』を発売。定価は4,500円、型番はJF-01で、ジャレコのファミコン参入第1弾でもあった。元は1983年のアーケード作で、疑似3Dの多重スクロール背景と“慣性”をもつ操作感が特徴。自機ファイターEXは上下左右に滑るように動き、レバーを逆に倒しても惰性が残るため、撃っては逃げるヒット&アウェイが基本になる。武装は2系統で、Bボタンの「デュアルビーム」は2発同時の通常弾(無制限/画面内に1組まで)、Aボタンの「シングルビーム」はフルオートで連射できる高速弾(有限)。画面右下の“CHARGE”がシングルの弾数で、外せば減り、敵に当てれば当てた分だけ回復するという“命中連鎖”の設計。弾を外さずに倒し続けると、敵の得点が段階的に上がっていく「ノーミス加点」も仕込まれており、丁寧な射撃がスコアに直結する。
面構成は全8パターンで、1&5=山岳、2&6=草原、3&7=未来都市、4&8=遺跡というローテーション。4パターンごとにボーナスステージが入り、ここでは敵に触れてもミスにならず、デュアル/シングルの両ビームを制限なく撃てる。倒した数だけCHARGEが加算され、40機パーフェクトなら+60。通常面でも、序盤でCHARGEを十分に貯めておくと後半が安定する。自機は3機制で、スコアが20,000点と50,000点に達すると1機ずつエクステンド。1人用と2人交互プレイに対応し、電源を切るまでハイスコアが残る昔ながらの遊び心地だ。
開発面では、アーケード版はJalecoが発売し、疑似多重スクロールと慣性のついた操作で話題となった作品。日本の業界誌では1983年末に「テーブル型の新作で月間上位」を記録するなど健闘を見せた。ファミコン版は移植をTOSEが担当し、カートリッジ番号はJF-01。ジャレコの家庭用進出を告げる先鋒として、アーケードの“手触り”を家庭に持ち込むことに成功した。画面全体を自由に飛び回れる全方位移動、背景の奥行きを感じさせるパララックス気味の地表、そして“気持ちよく外すと損をする”CHARGE設計。NATSUの短評にある“無駄にカッコいい発射音”は、実際にゲームプレイのテンポを作る重要な要素で、連射のリズムが合うと視覚と聴覚が気持ちよく同期する。BGMが控えめだからこそ、効果音の主役感が際立つ一本でもある。
マニュアルのトリビアとして、各パターンには“かくれキャラクター”の存在が示唆されており、出し方は伏せられているが「ファイターを大切に使え!」というヒントが残る。また、同マニュアル末尾には「第2弾 フォーメーションZ 近日発売予定!」の告知があり、実際に同年ジャレコから続けて参入作がリリースされた。のちの展開では、FC版が『ジャレココレクションVol.1』(PS, 2003)や『じゃじゃ丸Jr.伝承記 ジャレコメモリアル』(GBA)などに収録。さらにWii(2007年)/Wii U(2015年)のバーチャルコンソールでも再配信され、アーケード版は“アーケードアーカイブス”としてPS4やNintendo Switchで遊べるようになった。初期80年代らしい素朴さを保ちながら、“撃つ・外す・貯める”という小さな判断が点と手触りに反映される設計は、今遊んでも独特の中毒性を放つ。
NAO:総評
最初に触ったときは「なんで真っ直ぐ止まらんの?」と突っ込みたくなるけど、その慣性こそがクセになる。逆に滑りを利用して敵をかすめ撃ちできたときは、ただの移植どころじゃない爽快感だ。外せば弾が減るし、当てれば増えるCHARGE設計は、80年代のくせに妙にストイックで笑う。Bのデュアルで節約しつつ、ここぞでAの連射を浴びせる瞬間、効果音と操作リズムがピタリと噛み合ってテンションが跳ね上がるんだ。見た目は地味なのに、撃ち方が整うほどスコアも伸びるから、プレイヤーの丁寧さが数値に反映される実感がある。気がつけば「もう1周」ってなるから不思議。アーケードの無骨さを家に持ち込んだ、硬派な1本って感じかな。
出典:NAONATSU:総評
確かに、あのビーム音は無駄にカッコよかったわね。単発の重さと連射のリズムが違うから、撃ち分けているだけで気持ちが整っていく。最初はCHARGEが底をついて焦るけど、敵を外さず連続で倒せるようになると、自然と手が正確になっていくのが嬉しい。外すと損をする、当てれば戻る――この単純さが、かえって集中を生むのよ。背景の奥行きや滑るような操作感は、今触っても意外と新鮮で、うまく抜けられた瞬間に声が出る。交互プレイでスコアを競うだけでも緊張と笑いが同居して、古いのに妙に熱中できるの。ジャレコ最初の一歩がこの作風だったと思うと、どこか納得する。細かい工夫がそのまま結果に返ってくる、真面目なゲームだったと思うわ。
出典:NATSU📘 説明書資料(エクセリオン [JF-01])
説明書:Internet Archive(エクセリオン [JF-01])
※Exerion [JF-01](Famicom)(JP)
区分:説明書/Manual/Instruction_Booklet出典:※当時の説明書はInternetArchiveに保存された資料を参照 / 権利は各社に帰属します

















































発売日:1985年2月11日|価格:4500円|メーカー:ジャレコ
NAO: 慣性つきショットが妙にクセになる。
NATSU: ビーム撃つたびに無駄にカッコいい音が出るの最高。