エピソード
トリビア
1987年4月14日にカプコンから発売された魔界島 七つの島大冒険は、海賊船ひげ丸の主人公モモタルーが、海賊王ビアドの財宝を求めて七つの島へ渡るアクションアドベンチャーだ。海図の上を自由に航行して島を見つけ、門を開く鍵を集めて上陸し、島の奥で待つボスと対決する。題名だけ見ると続編風の勢いを期待してしまうが、遊びの中心は広い海と探索の反復で、むしろ当時としては珍しいほど冒険の作業感が前に出る。しかもタイトルロゴにはひげ丸の名が残り、前作の箱庭アクションの延長を想像させるぶん、手触りの違いがより強く印象に残る。船で海を回り続ける時間は、人によっては疲れに直結するが、七つの島という約束が視界の外でずっと誘い続ける。
遊びは海上と島で二分される。海上ではアンカー号を操り、画面を任意にスクロールさせながら高速移動もできる。南北はループになっていて、水平には限界があるので、海の広さを感じつつも迷子になりにくい。緑色の商船に触れると謎解きのヒントを最大三回だけ聞けるという、世界の中で助けを拾わせる仕掛けもある。海賊船に接触すると甲板が戦場になり、迷路状に置かれたタルを投げて倒し、一定数を倒すと船長への入口が開く。船長は左右に動きながら二方向にナイフを投げ、そのナイフは投げたタルさえ壊してくるので、雑に押すと自分の攻撃が消される。さらに移動している船を倒しても何も得られず、鍵が手に入るのは停泊している船だけだ。しかも鍵を持つ船は常に一隻だけで、その鍵で上陸できる島のボスを倒したときに、次の鍵船が出現する。島には助言をくれるカイン族がいて、最深部付近には飛び込むと入口近くへ戻れるスタートホールも用意され、迷路の戻り作業を短く切ってくれる。中盤以降はモノリスの文字を解くための古文書、封印を解くための金のランプと偽物の存在など、探索と謎が濃くなる。終盤に一隻だけ現れる幽霊船は壊れた通路が混ざり、船長を倒すと鍵ではなく石版が手に入り、丸、三角、四角の三種類を揃えないとビアドの瞳へ進めない。最後の扉にはビアドの涙も求められ、集めた品を整理しないと先へ進めない。ライフは得点で表示され、カウンターストップでゲームオーバーになるという癖もある。パスワードで進行を再開できるのも、長い航海には助かる。宝玉は三つあり、入手数でエンディングが変化する。サタンの剣という最終ボスと戦わずに勝てるとされる要素まで用意され、寄り道が物語の形を変える。
開発の裏側もこの作品の輪郭を決めている。もともとは魔界村の続編として企画され、主人公にアーサー、最終ボスにレッドアリーマーを据えた別企画が存在したが、それが取りやめになり、ファミコン版ひげ丸の企画と統合されて本作になったとされる。だからヘビ島の塔の入口にはアーサー本人が立ち、塔内部には魔界村で敗れて逃げ延びた魔物たちが潜む。終盤の最終ボスもデビル ザ レッドアリーマーで、タイトルの魔界が看板ではなく実体として混ざり込む。スタッフ表記も遊び心が強く、ゲームデザインの黒川真圭がパタリロ名義、藤原得郎がプロフェッサーエフ名義など、偽名のような署名が並ぶのも時代の空気だ。さらに英語版はマカイ アイランドの名で北米発売が予定されていたが、当時の年内発売本数制限の方針で未発売になったという話も残っている。後年の携帯電話版では海上移動そのものが廃され、マップで島を選ぶ方式に変わり、クリア後には伝説の七つの石モードまで追加された。ファミ通クロスレビューでは25点が付き、好みが分かれる手触りも含めて記録に残っている。
船で疲れて、島で取り戻す。その往復の感情こそが魔界島の記憶だと思う。海上は単調に見えても、停泊船を探し当てた瞬間に景色が意味を持ち、島の門が開いたときに七つの島という約束が一歩だけ現実になる。ひげ丸の名を背負ったことで期待の方向が少しずれてしまったとしても、カイン族の助言やモノリスの謎、偽物のランプ、幽霊船の崩れた通路など、冒険の断片は妙に手触りが濃い。派手な一撃ではなく、海図の上で積み上がる小さな達成が、最後にビアドの瞳へ収束していく。その収束の仕方が、当時の家庭用がようやく冒険の長さを抱え始めた時代の匂いを残している。
NAO総評
ひげ丸の続編風アクションアドベンチャーと聞けば、痛快さの延長を想像するのに、実際は海図の上を走り回って停泊船を探す反復が主役だ。題名とロゴが期待を煽るぶん、航海の長さが欠点ではなく露骨な個性として刺さる。魔界村由来のアーサーやレッドアリーマーまで混ざるのも節操がなくて良い。未発売の英語版や偽名クレジットまで含め、当時の家庭用が背伸びした痕跡が見える。疲れるのにやめられないのは、七つの島という約束が作業を正当化してしまうからだ。
出典:NAONATSU総評
海の時間が長くて、同じ景色を見ながら探すだけの瞬間は正直しんどい。でも停泊船を見つけて鍵を手にしたとき、島の門が開いたとき、急に冒険の息が戻ってくるのが魔界島だった。カイン族の助言や幽霊船の薄暗さみたいな小さな不気味さが、子どもの想像力を静かに燃やす。疲れとワクワクが交互に来るから、妙に心に残る。いま思うと、携帯版で海上移動が省かれたのも分かるけど、あの遠回りがあったから宝箱一つでも嬉しかったのよね。
出典:NATSU
📘 説明書資料(魔界島 七つの島の大冒険 [CAP-MZ])
説明書:Internet Archive 所蔵版(魔界島 七つの島の大冒険 [CAP-MZ])
※Makai-jima - Nanatsu no Shima Daibouken [CAP-MZ](Famicom)(JP)
区分:説明書/Manual/Instruction_Booklet
※当時の説明書はInternetArchiveに保存された資料を参照 / 権利は各社に帰属します












発売日:1987/04/14|価格:4980円|メーカー:カプコン|ジャンル:アクション
NAO: ひげ丸の続編風アクションアドベンチャー。タイトル変更の影響デカい。
NATSU: 船移動がメインすぎて疲れる。でも探索心は刺激された!