長靴をはいた猫 世界一周80日大冒険

長靴をはいた猫 世界一周80日大冒険

長靴をはいた猫 世界一周80日大冒険

発売日:1986/11/21|価格:4900円|メーカー:東映動画|ジャンル:アクション

NAO: おとぎ話×冒険×ドタバタ。妙な世界観がクセになる。
NATSU: いきなり難所が来るけど、妙に記憶に残る一本。

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エピソード

  • トリビア

    1986年11月21日に東映動画からファミリーコンピュータ向けに発売された長靴をはいた猫 世界一周80日大冒険は、東映のペロを主役に、おとぎ話の長靴をはいた猫と八十日間世界一周の旅を混ぜてしまったような、落ち着きのない世界旅行アクションだ。舞台はイギリスや地中海、アラビア、ホンコン、アラスカ、北極上空を経て、最後にビッグベンへ向かう。主人公は童話の猫であり、ゲーム内ではペローとも呼ばれ、童話作者の名に寄せた呼び方が混ざるのも、題材が何層にも重なっている証拠だ。賭けに負ければ召し使いにされるという筋立てで、期限の正午までに鐘を鳴らす。絵面はかわいく、敵もどこか漫画的なのに、約束の締切だけは妙に現実味がある。

    遊びの核は、八十日という時間制限が残機よりも重いという一点に尽きる。ゲーム内では一日がおよそ一分で過ぎ、時間切れになった瞬間に、体力や残機が残っていても強制的に終わる。さらに厳しいのは、ミスをするとステージの最初からやり直しになるのに、残り日数はそのまま削れ続けることだ。しかも説明書では画面が左方向にスクロールするとされ、単に右へ進むだけの旅ではなく、見慣れた横スクロールの常識を少しだけずらしてくる。歩きの横スクロールだけでなく、船や車や気球や潜水艦など乗り物操作の面も混ざり、同じ旅でも手触りが急に変わる。水に触れた瞬間に即死するような場面もあり、急いでいるのに慎重さも要求される。旅の途中で日数が伸びる靴がある一方、日数が短くなる靴もあり、拾ってしまうと十日分を削られる。ほかにも一機増える靴、攻撃やジャンプを強める靴、逆に弱める靴、一定時間だけ敵に触れても倒れない靴、画面内の敵をまとめて消す靴まで用意され、童話の小道具をゲーム的な数値へ変換している。得点の設定も妙で、助けになる靴ほど安く、日数を減らす靴だけ高得点で、危険と欲の天秤をわざと揺らしてくる。

    開発はショウエイシステムで、アニメの題材をゲームに落とし込む版権仕事のはずなのに、期限の圧だけは異様に真面目だ。一見すると童話のふざけた追いかけっこだが、ステージ三まではボスを倒さないと先に進めない仕組みがあり、ただ走り抜けるだけでは旅が終わらない。しかも乗り物面では、進行方向と攻撃の向きが場面ごとに変わり、慣れたころに別の乗り物へ放り込まれる。二人用も選べるが、助け合いで難度が下がるというより、交代で同じ締切に追われる感覚が強い。テレビCMではペロの決め台詞で締める演出があり、かわいさと勢いで押し切る宣伝の姿勢が、そのままゲームのテンポにも重なる。かわいい顔で剣を投げ、爆弾を落とし、魚雷まで撃つ。童話らしさと物騒さが同居しているのに、締切だけは一切ゆるまない。そのギャップが、ドタバタの裏にひやりとした焦りを残す。

    1990年には北米でPuss n Boots Pero s Great Adventureとして発売され、舞台や構成に手直しが入った。アラビアや太平洋は残りつつ、ロンドンや西部劇の町やニューヨーク、最後は自由の女神へ向かうなど、旅の印象が大きく変わっている。山越えの飛行面が宇宙と書かれてしまうような誤りもあり、世界一周のはずが世界観そのものを少し踏み外す。日本版が地図をなぞる旅の気分を前面に出していたのに対し、海外版は舞台の入れ替えで派手さを足し、同じペロでも違う国のテンポで走らされる。どちらにしても、期限に追われて焦るほど景色が目に入らなくなる、その矛盾が世界一周という題材の切なさを逆に立ち上げていて、妙な世界観がクセになるという短評の感触を、遊びの構造そのものが支えている。八十年代後半の子ども向けアニメの笑顔と、数値で追い立てるゲームの冷たさが同じ画面に並ぶ。その違和感が忘れにくい。

  • NAO総評

    おとぎ話と冒険とドタバタの看板は軽いのに、残り八十日という数字だけが異様に重いぜ。ミスしても日数が戻らないから、かわいい顔したペロが容赦なく労働契約を迫ってくる。東映動画の版権物らしく、旅の題材を数字へ変える割り切りが鋭い。海外では土地の顔を変えて売り直すあたりも、夢より商売の匂いがする。けど試作版まで残ってるのを見ると、あの妙な世界観は偶然じゃなく、ちゃんと作られた癖なんだと分かる。また遊んじまう。

    出典:NAO
  • NATSU総評

    最初の数面から急に厳しくて、ミスしたら最初からなのに日数は戻らないのがつらいの。残機が残っていても八十日が尽きたら終わりだから、笑えるおとぎ話の顔で、急に現実を突きつけてくる。イングランドや香港や北極圏みたいな場所の名前が並ぶだけで旅に出た気分になるし、船や気球の操作に変わるたびに胸が少しだけ躍る。苦しいのに記憶に残るのは、また一回だけとコントローラを握り直す瞬間が、いちばん冒険者になれるからだと思う。映画の賭けの設定がそのまま時間制限になっていて、無理だと分かってても挑戦したくなる。試作版が残っていると知ると、当時の誰かの手の温度まで遠くから届く気がする。

    出典:NATSU

📘 説明書資料(長靴をはいた猫 世界一周80日大冒険 [TDF-NN])

説明書:Internet Archive(長靴をはいた猫 世界一周80日大冒険 [TDF-NN])
※Nagagutsu o Haita Neko - Sekai Isshuu 80 Nichi Daibouken [TDF-NN](Famicom)(JP)
区分:説明書/Manual/Instruction_Booklet
※当時の説明書はInternetArchiveに保存された資料を参照 / 権利は各社に帰属します

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