エピソード
トリビア
アイマックスの「ネイビーブルー」は、海上のマス目フィールドで互いの艦隊位置を推理し合う“海戦ゲーム”をビデオゲーム化したシミュレーション。発売は1992年。プレイヤーとCPUがそれぞれ自軍の海域に戦艦・空母・巡洋艦・駆逐艦などを配備し、ターン制で相手海域へ攻撃を宣言する。着弾結果は三段階で返ってくるのが本作の肝で、直撃は「HIT」、隣接1マスに外した場合は「大波」、それ以外は「MISS」。このフィードバックを頼りに“敵艦のどの部分に当たったか”“艦形は縦長か横長か”を詰め、確度を上げながら撃沈まで持っていく。紙と鉛筆の遊び(バトルシップ)を下敷きにしつつ、「大波」によるニアミス情報を公式ルールとして返すことで、単なる当てずっぽうに陥らないロジカルな探索サイクルが成立しているのが大きな特徴だ。クリアごとに艦数やポイントが増え、次戦の装備配備に反映されるため、局地戦の読み合いと、次戦に向けた中期的なリソース計画が連動していく構成になっている。パスワードによる進行保存に対応しており、難所のやり直しや研究もテンポよく行える。
ビジュアルや演出は控えめだが、情報設計は明瞭。着弾マーカーの記録性が高く、逐次の“仮説→検証→修正”が画面上で追いやすい。とくに「大波」を軸にした包囲探索は、1ターンごとの選択が論理的に積み上がっていく感覚を生み、当時のファミコンでも“考える遊び”を前面に出せることを示した好例といえる。艦種の違いが示す抽象度も適切で、空母を含む艦隊編成は、射程や役割の差を意識した「どこを守り、どこを捨てるか」の判断を自然に促す。難度は後半にかけてしっかり上がるが、試行錯誤を支える仕掛け(パスワード、ポイント再配分)が同居しているため、理不尽になりにくい手触りに落ち着いている。
発売時点の情報としては、ファミリーコンピュータ用の海戦シミュレーションとしてアイマックスからリリースされていることが記録に残っており、後年にはレトロゲーム配信「プロジェクトEGG」で公式に再配信された。再配信時の紹介でも、HIT/大波/MISSの三段フィードバック、交互ターン、ポイントによる配備強化といったコア仕様が明確に説明されており、当時の設計が“推理と段取りのゲーム”として一貫していたことが確認できる。総じて、本作はファミコン期の資源で「情報の粒度を調整して思考を面白くする」ことに挑んだ一例であり、見た目の地味さに反して、読み合いが噛み合ったときの納得感と爽快感がしっかり残る作品だ。
出典:d4e.co.jpNAO:総評
発売日がバレンタインというだけで少し笑ってしまうけれど、最初の肌ざわりはやっぱり硬派そのもの。けれど数戦こなすと、「大波」でニアミスが分かるおかげで運任せじゃない“考える楽しさ”が見えてきます。HITの位置から艦の向きを当て、次の一手で包囲をきゅっと狭める。その小さな前進が積み上がっていく感じが心地いい。ポイントで装備を見直し、パスワードで再挑戦もしやすいから、難しめでも理不尽には転ばない。甘さは控えめだけど噛むほど味が出るタイプで、最後には“よい苦味”が残る一杯……そんな印象の海戦シミュです。
出典:NAONATSU:総評
「空母で航空隊を飛ばす爽快感!」という第一印象、わかる人にはすぐ伝わるはず。操作はシンプルでも、どこに圧をかけて、どこを守るかを自分で決めていく感じが気持ちいい。HIT/大波/MISSが返ってくるたび、頭の中の地図が少しずつ埋まっていって、推理が面でつながる瞬間に思わず前のめり。派手な演出はないけれど、情報の見せ方が丁寧だから負けた理由がすぐ分かり、次の一手に変えやすい。爽快さはド派手な爆発ではなく、論理がカチッとはまったときの“よっしゃ”の積み重ね。ファミコンでもここまで手応えを出せるんだ、と素直に感心しました。
出典:NATSU
発売日:1992/02/14|価格:5900円|メーカー:アイマックス|ジャンル:シミュレーション
NAO: バレンタインに海戦シミュ登場。チョコより硬派で胃もたれ気味。
NATSU: 空母で航空隊を飛ばす爽快感!ファミコンでここまで出来るとは。