光線銃シリーズ
エピソード
トリビア
1984年2月に発売された『ワイルドガンマン』は、任天堂がファミコン用に送り出した光線銃(ライガン)対応ソフトの一つだ。そのルーツは1974年に登場した同名のアーケードゲームに遡る。オリジナルはスクリーンに映写された実写のガンマンが目を光らせる瞬間を合図に撃つという、今で言う「フルモーションビデオ型」の先駆け的作品だった。ファミコン版はそれをドット絵で再構築し、家庭用でも早撃ち勝負のスリルを体験できるように仕立て直したものだ。
家庭用に移植された本作には3つのモードが用意されている。ひとりのガンマンと対決する「モードA」、ふたり同時に現れる敵を相手にする「モードB」、そして酒場の扉や窓から次々とガンマンが出現する「ギャングモード(モードC)」だ。どのモードも「FIRE!!」の表示とともに撃ち合うシンプルなルールだが、わずかコンマ数秒の判断が勝敗を決めるため、プレイヤーはいつも緊張感と隣り合わせだった。撃つのが遅ければ敗北、逆に合図前に撃ってしまうとファウル扱いとなるため、“待つ勇気”も必要とされた。
印象的な演出として、敗北時にはショパンの「葬送行進曲」が短く流れる。負けを一層ドラマチックに彩るこの仕掛けは、当時の子どもたちに「悔しいのに笑ってしまう」体験を残した。また、キャラクターデザインや酒場の舞台設定は西部劇そのものであり、少年たちに「西部のガンマンになった気分」を与える力を持っていた。
日本では1984年に、北米では1985年にNESのローンチタイトルのひとつとして発売。ヨーロッパにも1988年に投入され、任天堂の光線銃シリーズを世界に広める足掛かりとなった。NES版は初期「ブラックボックス」シリーズに含まれており、一部カートリッジにはファミコン用ROMを変換した基板がそのまま使われていたという技術的エピソードもある。
文化的な広がりも見逃せない。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART II』では、1985年のアーケードに『Wild Gunman』が登場し、マーティ・マクフライが子ども相手に華麗な早撃ちを披露する場面が描かれた。これを記念して、2015年の「Back to the Future Day」にはWii Uバーチャルコンソールで再配信され、映画とゲームのクロスオーバーとして再び脚光を浴びた。
また、後年の『大乱闘スマッシュブラザーズ』では、ダックハントのファイナルスマッシュ演出にガンマンが登場するなど、ファミコン時代のキャラクターとして長く存在感を残している。シンプルな仕組みながらも、一瞬の反射神経を競うゲーム性と、遊び心ある演出は今も語り草となり、『ワイルドガンマン』は任天堂の射撃ゲーム史における象徴的な一本として位置付けられている。
NAO:総評
光線銃を画面に押しつけるのはズルだぞ、って兄弟で言い合いながら遊んだんだよな。結局は誰が早く引き金を引けるかの勝負なんだけど、数コンマの差で「葬送行進曲」が流れると、悔しさと笑いが同時にこみ上げるんだぜ。合図を待つ緊張感はシンプルなのに心臓に悪くて、酒場やガンマンのドット絵が粗くても西部劇気分は十分だった。モードを変えると敵が二人同時に出たり、ギャングモードで次々現れたりして、手汗が止まらなかったな。光線銃を持った瞬間にリビングが決闘の舞台へ変わる──『ワイルドガンマン』はそんな魔法みたいな力を持ってた。
出典:NAONATSU:総評
「待て」の時間が長いと、つい我慢できずに撃っちゃうのよね。で、すぐファウルになって家族に笑われる。それでもまた挑戦したくなるから不思議だったわ。光線銃を構えるだけで、自分が西部劇の主人公になったような気分になれたし、撃ち抜けた瞬間の快感は格別だった。BGMはほとんどなくて、銃声と敗北の葬送行進曲だけでドラマを作るあたり、むしろ緊張感を高めてたと思う。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART II』で再び脚光を浴びたときは、思わずマーティ気分で構えた人も多いはず。単純明快なのに毎回真剣勝負になる──その潔さこそが、このソフトの魅力だったのよ。
出典:NATSU📘 説明書資料(ワイルドガンマン [HVC-WG])
説明書:レトロゲームの説明書保管庫(ワイルドガンマン [HVC-WG])
※Wild Gunman [HVC-WG](Famicom)(JP)
区分:説明書/Manual/Instruction_Booklet出典:※レトロゲームの説明書保管庫様による保存資料です / 権利は各社に帰属します



















































発売日:1984/2/18|価格:4500円|メーカー:任天堂|ジャンル:シューティング
NAO: 光線銃の先っちょを画面にくっつけるのは禁止だぞ。
NATSU: 待ての時間が長いとつい撃っちゃう。