探偵神宮寺三郎 横浜港連続殺人事件

探偵神宮寺三郎 横浜港連続殺人事件

横浜港連続殺人事件(探偵神宮寺三郎横浜港連続殺人事件)

発売日:1988/02/26|価格:5500円|メーカー:データイースト|ジャンル:アドベンチャー

NAO: 舞台を横浜に変えつつも安定のジングウジ節

NATSU: 二作目にしてすでに完成された世界観がある

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探偵神宮寺三郎シリーズ

エピソード

  • トリビア

    発売日が1988年2月26日、メーカーはデータイースト、ジャンルはアドベンチャー。そう聞くと落ち着いて推理を進める作品に見えるのに、最初の手触りは意外と迷子だ。横浜の港を舞台に、依頼人の日乃出健司から、恋人のエヴァが突然姿を消したと告げられる。失踪の糸口は薄く、しかも彼女の周囲には外交特権が関わる厄介な事情があり、警察が正面から踏み込みにくい空気が早々に漂う。画面に並ぶコマンドから、いま何を選ぶべきかを自分で決め続けるしかなく、うっかり順序を外すと手がかりがつながらない。言い換えると、この作品は反射神経ではなく記憶と観察の反射を鍛える修行で、正解の手順を身体に入れるほど捜査が速くなる。淡々とした神宮寺三郎の言葉と、助手の御苑洋子の冷静な支えが、硬派さの中の救いとして残る。

    システムは典型的なコマンド選択型で、見る、調べる、話す、移動といった行動を積み上げて事件の輪郭を作っていく。道具を使う、写真を撮る、資料を見る、電話をするなども含めて、できることは多いのに、正しい順番でしか進まない場面があるから、遊びながら自分の中に手順の地図ができていく。ファミコンのロムカセット作品なので、続きはパスワードで引き継ぐ形式になっていて、調査をやめる操作で文字列が表示される。会話では口の動きが表現され、進行の節目では合図のような短い文が出るなど、単調になりがちな調査を小さな演出で支えている。舞台は山下公園や中華街、横浜スタジアムなど実在の場所が登場し、観光案内のように華やかなのに、事件の匂いは重い。このギャップが、歩けば歩くほど不穏さを濃くして、港の夜の空気を画面に閉じ込める。

    印象的なのは、硬派さを気取るだけでなく、現場の会話そのものに無理を背負わせるところだ。たとえばバーかすみのマスターはスペイン語しか話せず、洋子が通訳を務める設定になっていて、横浜という土地の雑多さが、そのまま捜査の手間になる。登場人物も、協力的な伊勢崎刑事や、神宮寺の友人で事件に関わる熊野参造、バラカ国の関係者ロバートKバスクなど、やけに現実味のある肩書きが並び、行方不明事件が武器や密輸の影へつながっていく。制作面ではデータイーストに加えて酒田エスエーエスが開発に名を連ね、ディレクターは佐原俊英、キャラクターデザインは寺田克也、音楽面でも複数名がクレジットされている。シリーズとしては2作目で、前作にあった苛立ちの強い要素が薄れ、より滑らかに進むようになったと当時の誌面で語られた一方で、終盤に進行不能になり得る不具合があるとも記録されている。だからこの作品は、正しい推理よりも正しい手続きが問われる瞬間があり、そこが好き嫌いの分かれ目になる。それでも発売当時は売上ランキングに顔を出し、その後もアーリーコレクション収録や携帯アプリ化、Wiiのバーチャルコンソール配信へと繰り返し呼び戻された。さらに2000年代にはデータイーストが事実上倒産した後、2002年にワークジャムがシリーズの権利を取得し、作品が作られ続ける土台が移った。2016年末にはアークシステムワークスがワークジャム関連タイトルの事業権利を譲り受けたと発表している。2017年の探偵神宮寺三郎GHOST OF THE DUSKでは特典としてファミコン風に作り直した横浜港連続殺人事件を無料でダウンロードできるコードが付属し、30年を越えて同じ事件が新しい目で語り直された。古い画面の狭さの中に現実の横浜を押し込め、手順を覚えるほど会話が締まり、煙のように苦味が残る。この余韻が、2作目なのに世界観が完成していると感じさせる。

  • NAO総評

    横浜へ舞台を移しても、神宮寺の乾いた独白と洋子の冷静な返しはきっちり残り、あの安定したジングウジ節だけは裏切らないのに、遊びは推理というより手順の訓練で、覚えるほど速くなる一方、覚えないと置き去りにされる。パスワードを紙に写し、煙草の間で頭を整理しつつ進む姿は、遊び手にすら社会人の作法を求める。横浜の名所をあえて暗く切り取る目線も含めて、1988年の家庭用でここまで大人の不親切を通す潔さが、むしろ時代の熱を暴いている。

    出典:NAO
  • NATSU総評

    2作目なのに、港の夜の湿った空気や人の距離感が最初から出来上がっていて、コマンドを選ぶたびに神宮寺の背中が見える感じがするのが好き。迷ったり詰まりかけたりしても、洋子が通訳してくれる場面みたいに誰かの手が差し伸べられて、また一歩だけ進めるのがうれしい。パスワードを必死にメモして続きに縋った夜も含めて、このシリーズの世界観はもうここで完成していたんだなと、横浜に舞台が変わっても変わらない温度に懐かしくなる。

    出典:NATSU

📘 説明書資料(探偵神宮寺三郎 横浜港連続殺人事件 [DFC-YK])

説明書:Internet Archive 所蔵版(探偵神宮寺三郎 横浜港連続殺人事件 [DFC-YK])
※Tantei Jinguuji Saburou - Yokohamakou Renzoku Satsujin Jiken [DFC-YK](Famicom)(JP)
区分:説明書/Manual/Instruction Booklet
※当時の説明書はInternetArchiveに保存された資料を参照。権利は各社に帰属します。

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