ハイパースポーツ

ハイパーオリンピックシリーズ
エピソード
トリビア
1985年9月、コナミが発売したファミコン版『ハイパースポーツ』は、アーケード版『HYPER SPORTS』の移植作であり、『ハイパーオリンピック』の続編にあたる。タイトルこそ「スポーツ」だが、実態は“体力限界連打ゲーム”として知られる異色の一本だ。
プレイヤーはクレー射撃・三段跳び・アーチェリー・走り高跳びの4種目をこなすが、どの競技も高度な反射神経と連打力を要求され、子どもたちの指や机が悲鳴を上げた。前作に付属していた専用コントローラ「ハイパーショット」を接続してプレイする仕様で、本作はソフト単体販売のみ。ハイパーショットを持たない子どもにとっては、まさに“見ているだけのソフト”だった。当時、クレー射撃のルールを理解できなかった小学生も多く、「何を撃つの?」「いつ押せばいいの?」という混乱から初戦敗退するケースが続出。一方で、的確なタイミングを掴むと一気に快感が訪れ、プレイヤーの中には「ゴルゴ13気分」でスナイプ精度を極めた者もいた。だが、三段跳び・高跳びは指の速さがすべて。定規やペンを使った“定規連打法”や、ストップウォッチ型連打測定器「シュウォッチ」で練習する者まで現れ、もはや競技というより“指の筋トレ”だった。
アーチェリーでは、的に矢が当たるたび×印が表示される仕様があり、それを「失敗マーク」と勘違いしてリセットするプレイヤーも続出。開発陣が想定しなかった純真な誤解も、80年代らしい微笑ましいエピソードとして語り継がれている。走り高跳びでは助走からジャンプ、バー越えまでのタイミングが厳密に求められ、わずかな遅れで落下。成功時の達成感は高く、シンプルながら極めて精密なゲームバランスが光った。
本作は「競技スポーツを家庭で再現する」というより、「ゲームとしての限界反応を試す」ことに主眼が置かれており、アーケードの高難度設計をほぼそのまま再現。ハイパーショットの“叩き込み式入力”は連射の精度を競う場となり、子どもたちの手の皮を鍛える教育的(?)効果まであった。
現在では、『ハイパーオリンピック』『トラック&フィールド』と並び、コナミの“スポ根三部作”として評価されている。特に本作は、電子制御的なリズムの中に、肉体的な達成感を組み込んだゲームデザインとして再評価が進み、当時の“連射文化”を象徴する一作でもある。ファミコン本体を壊すほど熱くなった——そんな記憶を共有する世代の手の痛みが、いまもどこかで疼いている。
NAO:総評
クレー射撃がトップバッターって、もう開幕から気合い入りすぎなんだよ。普通は100メートル走とか、わかりやすい競技を置くだろ? でもコナミはあえてそこに精密さと緊張感を突っ込んでくる。連射だけじゃ勝てない、タイミングもシビア。ハイパーショットを叩くたびに汗が飛ぶ。まさに「体で覚えるゲーム」ってやつさ。スポーツの皮をかぶった修行だけど、乗り越えたときの快感はオリンピック以上。努力が得点に直結する潔さが、いま見ても痛快なんだぜ
出典:NAONATSU:総評
競技より連射、ほんとその通りだったわ。みんなでハイパーショットを囲んで、連打のリズムが部屋中に響いてた。クレー射撃のクレーって何? って言いながら必死でボタンを叩いて、失敗して笑って、また挑戦。スコアよりも、連打そのものが楽しかった。妹や友達と交代しながら、×印を見て怒ったり喜んだり。痛くなる指先も、今ではいい思い出。あの頃のファミコンって、努力すら遊びの一部だったのよね。今でもその音を聞くと、少し胸が熱くなるの。
出典:NATSU📘 説明書資料(ハイパースポーツ [RC806])
説明書:Internet Archive 所蔵版(ハイパースポーツ [RC806])
※Hyper Sports [RC806](Famicom)(JP)
区分:説明書/Manual/Instruction_Booklet出典:※当時の説明書はInternetArchiveに保存された資料を参照 / 権利は各社に帰属します


















































発売日:1985年9月27日|価格:4500円|メーカー:コナミ
NAO: クレー射撃がトップバッター。硬派すぎるだろ。
NATSU: 競技より連射。もはやスポーツじゃない。