エピソード
トリビア
1983年7月15日、ファミコンと同時に発売された『ポパイ』は、任天堂が送り出したローンチタイトルのひとつです。初代『ドンキーコング』や『ドンキーコングJR.』と並んで本体と同時発売されたことで、黎明期のファミコンを支えた立役者といえる存在でした。システムはアーケード版をベースにしており、オリーブが上から落とすハートや音符、あるいは「HELP」の文字をポパイが拾い集めることで進行するという、アクションでありながら“愛を集める”というユニークな題材が選ばれています。
実は、この『ポパイ』には開発の裏話もあります。そもそも任天堂は「ポパイ」のキャラクターを用いたアーケードゲームを企画していたものの、ライセンス契約が成立しなかったため急きょオリジナルキャラクターを生み出し、結果として『ドンキーコング』が誕生しました。その後ライセンスが実現したことで『ポパイ』もリリースされ、奇妙な縁で“ポパイとマリオが入れ替わるように存在した”歴史が形づくられました。宮本茂自身もインタビューで「ポパイがなければドンキーコングは生まれなかった」と語っており、任天堂史における大きな転機を象徴する一本なのです。
家庭用ゲームとしては、アーケード版だけでなく多数の機種へ移植されました。ファミコンやNESはもちろん、Atari 2600やColecoVision、Intellivision、さらにはPC系のCommodore 64やTI-99/4Aなど、1980年代を代表するハードの多くに移植されたのはキャラクター人気の高さゆえでした。ファミコン版では操作レスポンスが比較的軽快で、短時間で楽しめるアクションとしても評価されました。
さらに、『ポパイ』から派生した教育ソフト『ポパイの英語遊び』(1983年11月22日発売)も見逃せません。こちらはオリーブが落とすアルファベットをポパイがキャッチし、単語を完成させるという英語学習寄りの内容で、遊びながら学ぶというコンセプトが打ち出されていました。後に『ドンキーコングJR.算数レッスン』へと続く、任天堂の“教育ゲーム路線”の先駆けともなっています。
キャラクター演出の面でも小ネタがあります。敵役のブルート(海外版ではBlutoの名義が多い)や、魔女のシー・ハグがステージによって妨害に加わるなど、原作アニメの世界観をうまくゲーム化していました。オリーブはひたすら上からアイテムを落とす役回りですが、ハートから音符、HELPの文字へと変化していく演出は、単調さを避ける工夫として光っていました。
発売当時から「ファミコンで最初に遊んだゲーム」として思い出を語る人も多く、AmazonレビューやSNSでも「ポパイでファミコンを始めた」という声がしばしば見られます。シンプルながらも背景に隠された開発秘話や教育ソフトへの派生を知ると、ただのキャラゲーにとどまらない奥行きを感じさせてくれるタイトルです。
NAO:総評
ホウレンソウ食べてパワーアップ、って単純すぎて笑えるけど、その潔さが逆に気持ちいいよな。ファミコン初期からこんなに全力でキャラゲーしてたんだから、任天堂も思い切ったもんだぜ。アーケード移植らしくシンプルなアクションなんだけど、ハートや音符を追いながらブルートに追われる緊張感がクセになる。しかもこのポパイがいなかったら、ライセンス問題から生まれたドンキーコングも存在しなかったっていうんだから驚きだ。キャラ頼みと思わせて、実際は「遊んでみたら面白いじゃん」ってなる辺り、任天堂の底力を感じる一作だったな。
出典:NAONATSU:総評
海外の有名キャラをファミコンの初期タイトルに持ち込むなんて、当時としてはかなり大胆な挑戦だったのよね。子どもの頃は原作を知らなくても、落ちてくるハートを夢中で追いかけて、ブルートに捕まっては悔しがる、その繰り返しで自然と盛り上がってた。ゲーム自体は単純なのに、分かりやすさとスピード感があって、友達の家でも家族の前でもすぐに楽しめる。『ポパイの英語遊び』に続いて教育ゲームにもつながったのは有名だけど、やっぱり最初の一本としての存在感が特別だったわ。ファミコンが家庭に広がる入口に、このキャラを選んだ意味はすごく大きかったと思うの。
出典:NATSU📘 説明書資料(ポパイ [HVC-PP])
説明書:Internet Archive(ポパイ [HVC-PP])
※Popeye[HVC-PP](Famicom)(JP)
区分:説明書/Manual/Instruction_Booklet出典:※当時の説明書はInternetArchiveに保存された資料を参照 / 権利は各社に帰属します
















































発売日:1983/7/15|価格:4500円|メーカー:任天堂|ジャンル:アクション
NAO: ホウレンソウを食べて解決!初期から全力でキャラゲーしてた
NATSU: 海外キャラを初期に持ち込む挑戦、ファミコンらしい大胆さだ