エピソード
トリビア
1984年11月22日、任天堂がファミコン向けに発売。定価は4,500円、型番はHVC-CL。主人公は球形生物のグルッピーで、格子状に立つ“ターンポスト”につかまり、クルリと向きを変えながら画面内に隠れた金塊(インゴット)をすべて出現させれば1ラウンドクリア、という明快なルールだ。グルッピーは基本“直進”しつづけ、操作の核は「どのポストを、どのタイミングでつかんで離すか」。ここにAボタンのショックウェーブで敵のウニラを一時スタン→壁へぶつけて排除する要素が重なり、“回る/止める/寄せる”の三拍子が独特のテンポを生む。ポストの間隔、勢い、角度が噛み合うと、線で描いていたルートが面としてつながる感覚があり、NAOの短評どおり“目が回るのにやめられない”。画面内のブラックホールに真っ直ぐ吸い込まれるとミス、バウンドで進路を狂わすギミックも多く、常に小さな判断が要求される。
面構成は色で示され、ピンク(練習)→緑→空(青)→紫→黄の順に進み、黄の後はボーナス面を挟んで周回する。各色ごとに“金塊の形”が複数用意され、ハートやロケット、顔などの絵柄として覚えやすい配置が循環登場。NATSUが言う「パターン記憶でプロっぽい」はこの学習効果に由来し、どのポストをどの順で触るかまで体に入ると、驚くほどタイムに余裕が生まれる。ボーナス面は全マス金塊の腕試しで、制限時間までに何枚めくれるかを競う(ミスしても残機は減らないが、トランポリンのように“いったん床に触れるまで”状態が戻らない挙動があるため、寄り道のし過ぎは禁物)。中盤以降は“裏返り”ルールが加わり、いったん出現させた金塊の上を再通過すると裏に戻ってしまうため、最終的にすべて“表”で揃える必要がある。往復動線を設計し直さないとクリアが遠のき、ここで一気に難度が上がる。
二人同時(協力)プレイも本作の醍醐味。担当ラインを分け、危険地帯は互いのショックウェーブで援護、金塊の“裏返り”は一方が先行・もう一方が仕上げに回る、といった役割分担が自然に生まれる。敵のウニラは一定の間合いで追走してくるため、壁バウンドやスタンからの“押し込み”を味方にできると、画面全体の交通整理が一段階楽になる。逆にブラックホールやバウンド障害に挟まれて“詰み”が見える場面も出てくるが、だからこそ段取りの組み替えが楽しい。クリア時の到達ボーナス、ボーナス面の完全制覇ボーナスなど、プレイの質が素直に点数へ返ってくる設計も、反復意欲を支える。まれに出現する“旗(1UP)”“時計(一定時間停止)”“袋(高得点)”“フルーツ(ボーナス)”といったご褒美は、危機を切り抜けるか、攻めの一手を足すかの選択を生み、短いラウンドに起伏を与える。
発売後の展開では、同年12月にアーケードのVS.システム版が登場。カセット版にない金塊配置や細かな演出差が加わり、のちのディスクシステム版『NEW クルクルランド』(1992年)はその流れを強く引く“新仕様”として、BEGINNER/EXPERTなどの選択を導入した。以降もWii/3DS/Wii Uのバーチャルコンソール、アーケードアーカイブス(VS.版)、Nintendo Switch Onlineと、複数形態で再配信が続く。ファミコン初期の固定画面アクションの中でも、スティックやボタンの“押しっぱなしで何とかなる”タイプとは異なり、ターンと離脱のタイミング管理が核にある“段取りゲー”として個性を保ち続けている。派手な演出は少ないが、金塊の図形がスッと揃う瞬間の視覚的な満足と、手順が噛み合ったときの加速感が強い記憶として残り、いまも繰り返し手に取りたくなる。
NAO:総評
クルクルしすぎて目が回る――でもその回転のテンポこそが気持ちいい。最初はポストにつかみ損ねて自滅ばかりだったけど、角度と離すタイミングが噛み合うと道筋が線から面へ広がる感じがする。ウニラを電撃で止めて壁にぶつける一手も爽快で、ラバートラップの反動を逆利用できた時はちょっとした達人気分だ。黄の面を越えて挑むボーナスラウンドは、組んだ動線が点数に直結するのが嬉しい。終盤の“裏返り”地帯では一瞬の判断がズレるだけで苦しくなるけど、次は必ず修正できる手応えがある。派手さはないけど、段取りを積み上げて指先が賢くなる実感が残る。80年代らしい硬派な“覚えゲー”の楽しさがぎゅっと詰まった一本だな。
出典:NAONATSU:総評
金塊のパターンを覚えるほど安定感が増して、ちょっとプロっぽく見えるのが楽しい。ハートやロケットの形を思い出し、どのポストをどの順で触るか線を描くように動くと、画面が従順になっていく。二人プレイで担当を分け、危ない場所を電撃で援護してもらうと息が合った時の連帯感も心地よかった。後半の“裏返り”は最初は理不尽に感じても、往復の動線を組み直すと一気に整理されるのが不思議。ブラックホールやバウンドに翻弄されても、工夫すれば乗り越えられることが少しずつ分かってくる。どこにも安全地帯はないけれど、判断を重ねるほど画面が素直になるのが気持ちいい。覚えゲーというより“段取りゲー”。上達の実感が素直に返ってくる名作だったわ。
出典:NATSU📘 説明書資料(クルクルランド [HVC-CL])
説明書:Internet Archive(クルクルランド [HVC-CL])
※Clu Clu Land [HVC-CL](Famicom)(JP)
区分:説明書/Manual/Instruction_Booklet出典:※当時の説明書はInternetArchiveに保存された資料を参照 / 権利は各社に帰属します

















































発売日:1984年11月22日|価格:4500円|メーカー:任天堂
NAO: クルクルしすぎて目が回る…でもやめられない。
NATSU: 金塊が出るパターン覚えると、プロっぽいよね。